今日は経営に携わる方、ITに携わる方、全員に読んで頂きたい本のご紹介です。
ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント
本当に素晴らしい本なので、全てオススメなのですが、ITに携わる方には、
『Chapter 7 情報技術とコミュニケーションについて本当に大事なこと』
を是非読んで頂きたいです。
私は長年IT導入の現場で「本質とズレた行動をしているかも?」という感覚を感じていました。
経営のことが分からないからでは?と感じて、中小企業診断士を取得しました。
それでも、その何となく腑に落ちない感覚は残っていたのです。
このように今まで言語化できなかったモヤモヤを著者の藤田さんが見事に書いて下さいました!
このChapter 7に書かれているケースでは、
「他社を凌駕する情報システムを構築することが事業の成否を握る」
という社長の一声でプロジェクトが進んでいきます。
プロジェクトリーダーの懸念をよそに、現場から数限りない要件が集められます。
協力者も現れないまま役員会でシステム開発が決まってしまいそうなとき、ある役員が言葉を発します。
「これはただの機能要望の寄せ集め。経営の意思決定でも何でもない」
『プロジェクト現場で起こる課題は、全社マネジメントの課題を移す鏡』
このChapter 7で私に最も刺さった言葉です。
プロジェクトが佳境に入り、バタバタし始める頃には、システム導入の目的など、大半の人が忘れています。
とにかく、システムを問題なく導入したり、旧システムから新システムへ移行するだけで精一杯なのです。
システム開発プロジェクトでは、本当に数多くの問題が発生します。
それらに対応するために、世の中のエンジニアが昼夜を問わず、対応しています。
よほどのプロジェクトでない限り、エンジニアの頑張りで最後は何とかなります。
いえ、何とかなってしまう、と言った方が良いでしょう。
そうして、全社マネジメントの課題は何も解決しないまま、システム導入プロジェクトが終わるのです。
プロジェクトで起こる課題は、全社マネジメントの課題
しかし、この本に書いてある通り、プロジェクトで起こる課題は、全社マネジメントの課題なのです。
全社マネジメントの課題が、相似的にシステム開発プロジェクトで発生します。
例えば、組織間に壁があり、意思疎通が不十分という課題があると、それはプロジェクトでも発生するのです。
客像が明確になっていないにも関わらず、それをシステムに任せようとしても無意味です。
『ITとは「Enabler」であって、「Provider」ではない』
・「Enabler」とは、何かの実行を効率的に支援するもの。
・「Provider」とは、それ自体が何か新しく生み出すもの、何かを与えてくれるもの。
という言葉も印象的です。
「マネジメント」や「戦略」の視点に立たないシステム導入には意味がない。
情報システムに携わる者として、姿勢を正さずには居られなくなる一冊です。