中小企業診断士として独立したい場合、コンサルタントとしての経験を積むために、
「コンサルティングファームの経験をしておいた方が良いですか?」
という質問を受けることがあります。私なりの結論は、特に必要ありません。
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中小企業と大企業では、コンサルティングの業務内容が全く違う
中小企業を対象にしたコンサルティングと、大企業を対象にしたコンサルティングは、実は業務内容が全く異なります。同じ「コンサルティング」という名称を使うのを躊躇するほどです。
その違いを知ると、大手コンサルティングファームなどで修業を積むことが、あまり中小企業のコンサルティングには直結しないことが分かるでしょう。
以下、いくつかの違いをピックアップしてみます。
チームか、個人か
大企業の場合、上位クラスのコンサルタントが受注してきた案件(プロジェクト)をチームを組んで対応します。
プロジェクトチームは、顧客企業に入り込んで、様々な情報を収集したり、顧客ビジネスの理解に努めたりします。さらには外で起こっている事例や業界の動きなど、様々な要素を徹底的にリサーチします。上位コンサルほど大局的な部分を担い、若手ほど雑務が多くなります。
お客様側も対応はチームです。プロジェクトの内容によりますが、事業部門全体がコンサルタントとやりとりすることもありますし、法務・財務などの他部門を巻き込んでコンサルすることもあります。
一方、中小企業に対するコンサルティングの場合は、お客様(社長)とコンサルタントが1対1でやり取りするのが基本です。
- チームの一員として自分の役割を全うするのがコンサルティングファーム
→お客様は、コンサルファームのブランドに期待している - 自分自身が商品となるのが中小企業のコンサルティング
→お客様は、コンサルタント個人に期待している
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コンサルティングの範囲
大企業の場合、受注している時点でプロジェクトの範囲は決まっています。
例えば、値上げすべきか?値下げすべきか?をリサーチして欲しいという案件があったとしたら、そのプロジェクト期間中に、目的が大きく変わることは滅多にありません。
中小企業の場合は、最初から相談内容が明確に限定されることはありません。
ITに関する相談と言われていたのに、行ってみたら組織の相談をされることも普通にあります。また、「経営」コンサルティングのはずですが、普通に「人生」や「家族」の相談をされることも、良くあります。私の知人は婚活の相談されたと言ってました(笑)
- 大企業は対象範囲が明確なので、その専門性が高い人をプロジェクトチーム入れる
- 中小企業は対象範囲が不明確なので、色んな相談を受けられるようにする必要がある
必要とされるスキルの違い
ここまでの違いで予想ができると思いますが、結果として求められるスキルも異なります。
コンサルティングファームでは組織で働く分、ロジックが重要視されます。組織で何かを決めるためにはロジックで説明するのが説得力を増すからです。
ロジカルシンキングが当然のように求められたり、Excelでデータ分析することが求められたり。さらには自分の専門性を高めていくことが求められます。
一方、中小企業のコンサルティングについては、そこまで専門性もロジカルシンキングも求められません。しかし、社長の人生全体に対する悩みを受け止める人間力が必要になります。
中小企業の社長は、会社のオーナー(全株を保持)であることも多いです。借金の保証人になっていたりもします。会社と人生が一体化していることが多いので、会社の良し悪しがQoL(人生の質)に直結します。そのことを分かった上で、会社や人生に対する相談を受け止めるのです。
経営についても、戦略・組織・会計・IT・マーケティング・法務など、様々な相談が出てきます。そのため高い専門性よりは、これらの相談を整理して、必要であれば専門家につなぐことができれば良いのです。もちろん、自分の専門分野であれば、自分で支援することもあります。
- 高い専門性を求められるのがコンサルティングファーム
- 幅広さを求められるのが中小企業コンサルタント
中小企業のコンサルタントを目指すなら、大手コンサルティングファームの経験は必要ない
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【編集後記】
昨日はスタートアップ、新規事業開発で有名な
Steve Blankさんのセミナーに参加してきました。
その後、大企業で新規事業をやられている2人と合流して会食でした。
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