会計

利益を目標とする会社は崩れやすい(東芝のニュースから感じたこと)

連日、東芝のニュースが流れていますね。
事実がちゃんと整理されていない状況なので、それに対して直接、何かを申し上げるつもりはありません。

この記事では、会社はどういう目標を掲げるべきか?を問いたいと思います。

 

利益を目標にする問題

ニュースを見ていて、利益を直接の目標にすると、盲目的になってしまうことを再確認しました。
理由は大きく2つあります。

1つ目は会計年度に沿った利益は、事業と直接結びつかないからです。
行っている事業ごとに適切な期間があるはずです。

提案し、受注して、売上計上から入金までの期間が1ヶ月のビジネスもあれば、
数年以上かかるビジネスもあります。

1年という会計年度は、税務署が税金を取るための都合に合わせて作られたようなもので、
ビジネスを見る経営者の立場からは、その事業にとって適切な期間で利益を確認する必要があります

にも関わらず、体外的な利益を発表する上場企業や、銀行から融資を受けたい経営者などは、
この会計年度の利益に振りまわされてしまうのです。
そして、利益を操作してしまうのです。

これは東芝に限った話ではなく、過去の多くの粉飾決算、
あるいはニュースにすらならない多くの中小企業で行われていることです。

残念ながら、何がビジネスの本質なのか?を見失っていると言えます。
この辺りのことは、こちらの本の前の方に明確に書いてあります。

 

利益は複雑

2つ目の理由は、利益は色んな要素が複雑に絡み合った結果だからです。

利益を伸ばすには、大きく分けると

  • 売上を伸ばす
  • 経費を下げる

のどちらか、あるいは両方の取り組みが必要です。

売上を伸ばす方法にも、多くのやり方があります。ザックリ言えば、

  • 価格を上げる
  • もっと多くのものを買ってもらう
  • 顧客の購買頻度を上げる

です。経費の下げ方にも多様な方法があります。

これらが複雑に絡み合った結果が利益なのです。
したがって、利益を目標にされても、その指示を受けた現場は、どう対応すれば良いのか?が分かりません。

1回の購買でもっと高いもの、多くのものを買っていただく方法と、
頻繁に購買してもらうための方法は、必ずしも一致しません。

しかし、利益を目標に掲げられてしまったら、現場はある意味、個々人が好き放題に何でもやるでしょう。
これが利益(や売上)を目標に掲げてしまう組織が弱くなる理由です。

 

戦略に沿った目標(KPI)が必要

したがって、現場が団結して組織力を高めていくためには、
行動を(良い意味で)制限する、目標が必要になります。
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とも言われます。

例えば、顧客の定着率。
ビジネスにも寄りますが、例えば美容院だったら、前回の来店から3ヶ月来なければ、
他のお店に変えられてしまったと考えられるでしょう。

前回の来店が3ヶ月未満のお客様を「定着している顧客」だと定義すれば、
定着率を測定することが可能になります。

定着をしてもらうためには、「また来たい」と感じてもらわなければなりません。
毎回、来店の度に満足して帰っていただく必要があります。
仮に定着率を目標(KPI)として掲げるのであれば、良い意味で現場は頭を悩ませ続けることになるでしょう。

定着率が上がれば、広告を出さなくても売上が上がるわけですから、
「結果として」利益が上がるでしょう。
最初から利益を直接追い求めるのではなく、「結果として」利益が上がることが大事なのだと思います。

このような考え方は、こちらの本に書いてあります。

今、気付いたのですが、この本を誰かに貸したまま、返してもらっていないようです。。
素晴らしい本なので、読み返したいと思ったのですが。

何れにしても、利益(や売上)を直接の目標に掲げることには、大きな問題があります。
上述の通り、「戦略が何もない」からです。
そんな状態にならないよう、経営者は、ちゃんと頭を使って目標を掲げましょう。
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【編集後記】
夏休みです。これから北海道に行って来ます。

今日も素晴らしい1日になります。感謝!!

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