中小企業白書などを読むと、中小企業は「ITの投資対効果が見積もれない」という問題で困っているようです。
確かに経済産業省が「IT投資価値評価ガイドライン」を掲げているように、この問題は中小企業に限らず出ていました。
しかし、小さな企業に関して言えば、IT投資対効果なんて、システムを使う前には気にしなくて良くなった、と感じています。
投資対効果を見積もらなくて良い理由
かつて、IT投資と言えば、大きな会社でも小さな会社でも、初期投資が重たいものでした。
一度システムを購入してしまうと、それがどんなに使えないシステムであったとしても、
数年間は資産として抱え込むことになったのです。
つまり、IT投資は「失敗してはならないもの」でした。
しかし、今は違います。
クラウドサービスの多くは、お試し期間があります。
1円もキャッシュアウトすることなく、自分達のニーズに合ったシステムか?を確認することができます。
仮にサービス契約をして、お金を払うことになったとしても、
小さな会社向けのサービスは数100円~数1,000円(月額)が多いです。
金額的には、個人でも支払えてしまう範囲です。
この程度の金額であれば、投資対効果を真剣に見積もる必要はないのではないでしょうか。
使ってみて得られた経験こそが効果
投資対効果を見積もるために頑張るよりも、使ってみて得られる経験を優先したいです。
具体的な例をご紹介します。
ある店舗が、予約を受け付ける電話対応の負荷を減らすため、
予約システムを使ってみました。クラウド型のシステムで月額5,000円です。
結果、一部の予約はネットで受け付けるようになったため、電話対応時間は減りました。
ここまでは予想通りの効果でしたが、同時に、思わぬ効果が出てきました。
予約時に自動で追加提案をすると、高い確率で提案が受けられることが分かったのです。
美容院予約のときに、「ヘッドスパもご一緒にいかがですか?」という感じで。
これによって、ネット予約の顧客は、平均単価が上がったのでした。
事前には全く予想していなかったことで、使ってみたからこそ、得られた経験でした。
早く使うスピード感の方が大事
この予想外の効果は、使ってみなければ得ることができません。
月額5,000円を投資するかどうか?IT投資対効果をじっくり検討してたら、発見できない効果でした。
日々、爆発的に増えているクラウド型のシステムの場合、「早く使ってみる」ことの方が、正しく投資対効果を見ることよりも、よほど大事です。
クラウド型のシステムは、言い方を変えれば、「失敗できるシステム」とも言えます。
失敗したら契約を止めれば良いだけです。
使った時間とお金は失いますが、かつての自社開発システムのように、
大きな資産(という名の負債)を抱える必要はありません。
システムがクラウド化したことによって、撤退コストが大幅に減りました。
どんどん使ってみて、失敗したのであれば、
なぜ失敗したのか?を分析して、また次の機会を探せば良いだけです。
小さな会社には、既存の情報資産がほとんどありません。
大企業のように、既存システムの都合に引っ張られることもありません。
使えそうなシステムは、「エイヤっ!」で、どんどん使ってみましょう。
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【編集後記】
今日は久しぶりに1箇所に留まり、集中して仕事。
しっかりアウトプットするには、こういう日も必要です。
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!