世の中には、経営戦略・事業戦略を検討するためのフレームワークが、多々存在しています。
その中でも、SWOT分析は非常に有名ですが、実は使い方が難しいのです。
間違った使われ方をして、効果が出ないどころか、迷走しているケースを良く見かけます。
SWOT分析とは
自社、すなわち内部環境の強み(Strength)と弱み(Weakness)、
市場や経済状況などの外部環境の機会(Opportunity)と脅威(Threat)、
これらを分析することで、経営・事業戦略を策定していくものです。
強みと弱み、機会と脅威、それぞれの頭文字をとって、SWOT(スウォット)分析と呼ばれています。
有名だけど、使い方は難しい
多くの方が知っているフレームワークなので、気軽に使おうとされるケースに、よく遭遇します。
戦略を考えるのに、やり方が分からないので、「じゃ、SWOT分析してみようか」という感じで。
ただ、これは非常に危険です。
ブレインストーミングの一環として使われてしまうのですが、この使われ方でSWOT分析が上手く機能したケースを、私は見たことがありません。
SWOT分析は使い方が難しいフレームワークです。
難しい理由は以下の通りです。
主観が入りやすい
ブレストの一環としてSWOTが使われる場合、そこにはまだ仮定の戦略すらありません。
競合が誰か?の定義もできていないでしょう。
そのようなケースで、「自社は技術力が高い!」などと強みを書いても、何の意味もありません。
意味が無いと言うのは、目的である戦略の策定に寄与しない、ということです。
「SWOT分析では事実だけを書く」のが基本です。
上記の例で言えば、「技術力が高い」という主観的な書き方ではなく、「○○という分野において、自社は特許取得件数が業界No.1」という客観的な書き方なら良いのです。
しかし、実際は主観が入った多くの意見が出てしまいます。ブレストに使うからです。
多くの方に知られたSWOT分析ですが、使い方まで理解しているのは、経営コンサルタントを含めてすら、少ないと感じています。
強みと弱み、機会と脅威の区別がつかない
実際にやってみると分かるのですが、「あれ?これって脅威だと思ってたけど、機会かも」というようなケースが起こります。
事実だけを書くという基本に忠実に従っても、その事実をどう解釈するのかによって、弱みは強みになり、脅威は機会になります。(その逆もあります)
例えば、何年か前に、アシックスが雪道用のランニングシューズを販売して、売上を伸ばしたことがあります。
「寒い」ことは「脅威」かもしれませんが、解釈を変えると「機会」になるのです。
このように強みと弱み、機会と脅威は区別することが非常に難しいのです。
むしろ、事実を前にして、どう解釈すれば、「強み」と「機会」になるのだろうか?と考えた方が、戦略策定には一歩近づけます。
あくまでも手段
他のフレームワークにも言えることですが、SWOT分析はあくまでも戦略策定のための手段です。
したがって、SWOT分析をした後に期待されるアウトプットがあるべきです。
例えば、短期・中長期のアクションプランが、期待されるアウトプットかもしれません。
長くなってきたので、今回は「SWOT分析は難しい」ことまでにします。
他のフレームワークを含めた「使い方」は、別の機会に触れようと思います。
繰り返しになりますが、フレームワークを使うことが目的なのではなく、あくまでも手段であることを強く意識したいですね。
(2018年8月10日更新)
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