商品企画をする際のシミュレーション方法について連載しています。
まずは、シミュレーションをする意義について。
そしてシミュレーションの具体的なやり方、全体像とコストの算出までについて。
価格を決め、販売目標数から営業・マーケティング体制を決める。(売上目標)
今回で一応最後です。
コストと売上目標が決まりましたので、ここからは全体調整です。
全体を俯瞰して、問題点を確認する
月々の売上とコストの入力が終わると、毎月の粗利益・営業利益が算出できます。
それをグラフにすると、このようになります。
棒グラフ(左軸)が単月の売上・粗利益・営業利益、
線グラフ(右軸)が累積の売上・粗利益・営業利益です。
調整が終わった後の例なので、既にある程度キレイなグラフになっています。
2018年7月頃に単月で黒字に転換し、2019年9月に初期投資を回収しています。
また月額課金のビジネスモデルなので、損益分岐点を越えた瞬間から、一気に成長しています。
多くのケースにおいて、入力直後はこんなキレイになりません。
いつまで経っても赤字のままだったりすることもあります。
見るべきポイントは以下の点です。
- 将来、黒字になるか?
- 単月で営業利益が黒字に転じるのは、どのタイミング(年月)か?
- そのときに確保している販売数(顧客数・ユーザー数・個数など)はいくつか?
- 累積で営業利益が黒字に転じる(=初期投資を回収できる)までに、何年何ヶ月かかるか?
これらを確認しつつ、問題点を洗い出し、数字(価格・コスト・販売予定数など)を見直します。
利益が確保できないときの確認項目
利益が確保できないときには、以下の項目を確認してみましょう。
- 無駄な原価が掛かりすぎていないか?
- システム構成を見直せないか?(アーキテクチャレベルから設計の見直し)
- 開発期間を短縮できないか?(初期リリース時の実装機能を絞り込む)
- 人件費が掛かりすぎていないか?(営業体制の見直し)
- 価格が安すぎないか?
- 課金体系を変更できないか?(一括払いから月額に変更するなど)
- ライセンス体系を変えられないか?(上位ライセンスを設けて、そちらに誘導するなど)
- もっと売れないか?
この確認を行い、数字を変更しつつ、全体を再度見渡す。
そしてまた数字を変更して、全体を見渡す。
この繰り返しをしながら、必要な初期投資金額・体制を計画していきます。
人・モノ・カネ、そして情報が適切に揃って、実行可能性を感じられるようになるまで検討します。
- どんな社内人材のアサインが必要か?
- パートナー企業との契約は誰がどうやって進めるか?
- 特許を取っておいた方が良いか?
- プレスリリースは打つのか?
- 最初の1社にどうやって販売するのか?
あくまでも例に過ぎませんが、このような検討を数字と連動させながら行なうのです。
マネジメント層に承認をもらう場合は、コンセプト・初期投資・必要な体制などを説明できるようにします。
投資回収期間に対する考え方
このシミュレーションを行なうと「投資回収期間はどのくらいが適切か?」と良く聴かれます。
一概に答えはありません。
個々の会社が置かれている状況が全く異なるからです。
資金的にゆとりがある会社でしたら、いつまでも回収できなくても会社は継続できます。
たった1つの商品・サービスに依存していない、強い会社と言えるでしょう。
一方、会社を立ち上げたばかりで、これが1つ目の商品・サービスだったときには、
資金が底を尽くまでの間に、まず黒字転換、そして初期投資を回収できねばなりません。
とは言え、回収期間は短くなる傾向にあります。
3年後に回収するモデルを描いていても、3年後のビジネスが読めなくなってきているからです。
そのため、初期投資はできる限り小さく、上手くいきそうであれば、後から投資を追加する方向に動いているように感じます。
この連載では、定性的に描いた新商品・サービスのコンセプトから、
実行計画に落とし込むために、定量的な評価を行なうシミュレーションのやり方をご紹介しました。
「個別コンサルティング」で、やり方や着眼点をお伝えすることもありますし、
「ハンズオン型プロジェクト支援」で、私もプロジェクトに入ってやることもあります。
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【編集後記】
昨日、レースペースでランニングしてみたら、今度は左ふくらはぎが・・
どうやらキロ5以上にペースを上げると、フォームに変なクセが出ている模様です。
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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