あるところで、新事業(商品)の企画を見比べていたことがあります。
楽しみにしていたのですが、蓋を明けてみると、どこかで見たり聞いたりしたような企画ばかり。
例えば、「IoT 植物」で画像検索すると、同じようなものが延々と出てきます。
良く見ると、中には特徴的なものもあるのですが、既にレッドオーシャンになっていることは、間違いなさそうです。
なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか?
私は大きく2つの理由があるのではないか、と考えています。
テクノロジーから新商品を考えるリスク
1つ目は、テクノロジーを元に新商品のアイデアを発想しようとすることです。
確かに各企業には、それまでに培ってきた技術があるかもしれません。
あるいは、これからはIoTだ!人工知能だ!ブロックチェーンだ!と、誰かに刷り込まれているかもしれません。
実際、某補助金には「IoT」「ビッグデータ」「人工知能」がある意味、新規事業の要件として組み込まれているくらいです。
ですから、例えば「これからはIoTだ。だからIoTで新商品開発しよう!」というケースが非常に多いのです。
しかし、私はこういう発想で、本当に良いアイデアが生まれてきたのを見たことがありません。
「顧客は誰か?」「何に困っているか?」「どういうニーズがあるか?」を考えないまま、企画が進んでしまいがちだからです。
既に事業を営んでいる会社であれば、何らかの形で市場との接点があります。
既存顧客、仕入元、パートナー企業などです。
これらの市場との接点がせっかくあるにも関わらず、そこで得た知見を活かさずに、「IoT」という一般知識だけで企画を考えてしまう。
その結果、誰でも思いつくような、似たような企画が乱立してしまうのです。
テクノロジーだけを考えるのではなく、顧客や自社の強みなどとの関連付けが欠かせません。
他の実現手段がないか?を考えてみる
テクノロジーから新商品のアイデアを考える場合には、他の実現手段がないか?の確認が必須です。
仮にIoTを元に、新商品のアイデアを思いついたとしましょう。
その新商品が提供する価値は、別の手段でもっと簡単に・安価に実現できるかもしれません。
それを発見した場合は、IoTを捨てて、別の手段を採用する覚悟が求められます。
ただ、大抵の場合、IoTからスタートした企画は、IoTを使うことが目的になっています。
(この時点で顧客ではなく、自社の勝手な都合で企画が進んでいることに注意しましょう)
そのため、別の手段の方が良いことが判明した途端、企画チームのモチベーションが一気に下がってしまいがちです。
エンジニアが商品企画をするときに、良く見るケースです。
新事業のための新商品では、良いものは生まれない
もう1つの理由は、新規事業を立ち上げること自体が目的になっていることです。
大企業で良く見る光景です。
このようなとき、「顧客」や「ニーズ・価値」以前に、自社に目が向かってしまいます。
ひょっとすると、新事業を立ち上げることを指示した社長や役員を満足させることに、意識が向いているかもしれません。
そのため、市場や顧客の実態を把握することもなく、「世の中に既にあるケース」をググって探してきたりします。
新商品・サービスを考えるときに、既に世の中にあるものを確認していては、出遅れてしまうのは当然です。
似たような企画が乱立する理由がお分かりですね・・
本当に市場を切り開こうとしている人たちからは「新事業ごっこ」などと揶揄されてしまうのですが。
商品・サービスは顧客のためにあります。
顧客が何らかの価値を得る手段として、商品・サービスがあります。
「嬉しい」「楽しい」「納期が短縮できた」「売上が上がった」というように。
「顧客」や「ニーズ・価値」を無視したまま、新商品を企画することなどできません。
大切なのは、社長や役員のご機嫌を取ることではなく、顧客に喜んでもらうことです。
ちゃんと喜んで貰えるなら、感謝され、利益も得られるでしょう。
その結果として、初めて社内からも認められるのです。
むしろ大企業で画期的な商品・サービスを生み出そうとするなら、
社長や役員を含めて、最初は敵ばかりなことの方が多いのではないでしょうか。
反対され、否定され、それでも突き進んでいくのです。
まずは社内ではなく、会社の外に目を向けるべきでしょう。
本当に顧客・ニーズがあるならば、反対者に対しても説明ができるようになるはずです。
新商品・サービスに一番大切なもの
新商品・サービスを企画・開発する人には、強い情熱が求められます。
必ず困難が伴うからです。
「アイデアが出ない」「社内の反対に遭う」「予算削減される」「プロジェクトチームが崩壊する」「顧客からの反応がない」「売れない」などなど。
このような困難を乗り越えられるのは、「心からやりたい」という情熱以外にないのではないでしょうか。
そして情熱があれば、顧客とそのニーズにしっかりと向き合うことができます。
自分が提供する価値を、心の底から考えることができます。
それが結果として、オリジナリティ溢れるアイデアの源泉となるのです。
まとめますと、自分(情熱)と顧客(ニーズ)にちゃんと向き合うこと。
これらなしに新商品・サービスを考えるのは、現実的には厳しいでしょう。
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【編集後記】
昨晩、京都に移動後、ある方とお会いして日付が変わるまでお話ししました。
気づきの宝庫でした。
今日は情報セキュリティのセミナー講師をしてきます。
天気が悪くてランニングできないのが残念ですが・・
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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