「働き方」に関して、ようやく表面ではなく、本質を突いた本が出ました。
著者はITIL本でも感銘を受けた沢渡あまねさん。
ITILをIT以外に適用するなど、物語を使ってITILを分かりやすく伝えて下さっていたので、
「働き方」に関しても期待を持って拝読しました。
働き方に関する、表面的な議論はもう止めよう
「働き方」は、働く全ての人が関係する問題だからこそ、
色々な立場の人が、それぞれの意見を自由に展開していました。
一言で片付けられない問題だからこそ、議論は多様性を極めざるを得ません。
私はずっとIT業界に居ましたし、今もIT企業の支援が多いので、
「働き方」が話題になると、以下のようなツールの話になってしまうことがほとんどでした。
- 仮想デスクトップでどこでも働けるようにしよう
- いやいや、モバイルでしょう
- Web会議で出社せずともミーティング
- チャットが熱い。ボットとの連携もあるし。
- 人工知能が職業を奪っていくのはどうするの?
これらの議論が不要だとは思いませんが、個人的には本質を突いた議論ではなく、
どうも「上滑りしている感」が拭えないのでした。
なぜ表面的な議論に聞こえるのか?私なりに分析しました。
「ツール(例:人工知能)が私たちの働き方を良い方向に変えてくれる」
という他者依存だからではないか、と感じています。
易しく書かれているものの、私たち自身に変化を求める厳しい本
本書は、そのような他者依存の視点から書かれた本ではありません。
ITベンダーが自社商品を売るためや、
人事コンサルタントが就業規則を変えさせるための売り文句でもありません。
様々な企業を見て、著者の沢渡さんご自身の経験も踏まえ、
各企業で起きている具体的な問題に対して、その原因と対策を提言しています。
「問題地図」のタイトル通り、職場で起きる様々な問題を俯瞰できる内容となっています。
目次は以下の通りです。
- 1丁目:手戻りが多い
- 2丁目:上司・部下の意識がズレてる
- 3丁目:報連相できていない
- 4丁目:無駄な会議が多い
- 5丁目:仕事の所要時間を見積もれない
- 6丁目:属人化
- 7丁目:過剰サービス
- 8丁目:「何を」「どこまでやればいいのか」が曖昧
- 9丁目:仕事をしない人がいる
- 10丁目:だれが何をやっているのかわからない
- 11丁目:実態が上司や経営層に伝わっていない
これを見ただけで、「あぁ、うちのことだ・・」と思う方は多いのではないでしょうか。
本書では、これらの問題を私たち自身が改善できると訴えています。
そう、私たち自身が変わり、改善していくことを求めている厳しい本なのです。
プロセスや場を変えていこう
個々の問題が発生する原因や対策は本書に委ねるとして、
私たちが意識的に変えていく必要があるのは、プロセスや場だと説かれています。
例えば就業規則などの人事制度、研修などの個人スキルの面では、
特にほとんどの大企業が既に検討していたり、手を入れたりしています。
しかし、それだけでは実際には変わらないのです。
これらも大事なのですが、今、私たちが着目すべきは「プロセス」と「場」です。
個人的に、本書で一番痛かった指摘は、「5丁目:仕事の所要時間を見積もれない」でした。
元システムエンジニアとしては、当然、見積もれないといけないのですが。。
原因は、仕事をより細かく要素分解できていないとか、
過去の仕事の振り返り、ノウハウの記録をできていないとかでしょう。
これは正にプロセスの問題です。
自分の会社員時代、あるいは顧客を思い出すと、場の問題も多く感じます。
典型的なのは雑談がないこと。
お互いの役割やスキル、あるいは大事にしていることなどが分からなければ、
そもそもコミュニケーションの取りようがありません。
私たちは、もっとプロセスと場に着目して、働き方を変えていく必要があるのではないでしょうか。
他の誰かやツール、制度、個人スキルに頼るのは、もう止めましょう。
私たち自身が、真剣に「仕事のやり方」を変える覚悟を決めることが必要だと感じました。
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【編集後記】
今日は、あるワークショップの運営をしています。
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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