組織が成長し、大きくなるにつれて、業務プロセスの問題が浮かび上がってきます。
1人でやっていた仕事が2人に、3人、4人と増えていくごとに、属人的な仕事のやり方では行き詰まってしまうからです。
私はこれまで、ITエンジニアとして、あるいは管理職として培った経験を元に、スタートアップ企業の業務プロセス改善を行ってきました。
しかし、様々な状況にある、色んな会社のご支援をする中で、自分の経験や、過去に多少かじっただけのフレームワークに頼るのではなく、
「もっと標準的なやり方で業務改善したい」
と感じていました。
そんなことを考えていたときに出会ったのが、今回ご紹介する2冊です。
なぜ業務改善が必要なのか?
私が支援するスタートアップ企業は、創業社長が1人で始めたビジネスがほとんどです。
1人で小さく始めて、事業が少しずつ軌道に乗り、スタッフを雇い始める。
相変わらず社長は営業のエースとして、あるいは開発者のエースとして奮闘しています。
せっかくスタッフを雇ったのに、雇った人数分、売上も利益も増えません。
それどころか、1人でやっていた頃と大差なかったりするのです。
原因は一人ひとりがバラバラな仕事のやり方をしているからです。
私の経験的には5〜10名ほどの会社で、実に多く起きている問題です。
さらに今は多様化が進んでいます。
同じ会社で同じように経験を積んだ人が机(島)を囲むのは、もはや昔の話でしょう。
新卒がいれば中途もいる。
派遣もいれば、定年退職後の嘱託もいる。
子どもの送り迎えや介護で時短勤務の人もいる。
日本語が苦手な海外留学生がいる。
ひと昔前なら珍しかったことも、今はかなり増えているように思います。
多様化が進むということは、価値観がバラバラな人たちが集まって、業務を進めるということ。
今までのように「阿吽の呼吸で」とか、「空気を読んで」「先輩の背中を見て覚えて」ということが通じないのです。
そのような時代背景もあり、業務改善に対するニーズは、益々高まっているように感じます。
(別の目的で支援を始めた会社も、業務改善の話にならなかったことは、一度もありません)
物語を通じて業務プロセス改善を学ぶ
このような理由で、何か良い指針となるものがないか?と思っていたときに見つけたのが、この2冊です。
ITILとはITサービス管理の良い事例を集めたものなのですが、私がITエンジニアの頃、学んだことがあるものでした。
この2冊はITサービスとは関係なく、購買部(新人編)や通信販売部(主任編)の仕事をITILを通じて改善する様を、物語を通じて学べるものです。
こちらの新人編は、ITILの全体像をつかむのに適していると感じました。
業務プロセスを設計し改善する上で、どのような視点が必要なのか、網羅するのにオススメです。
主任編は、物語性が増していて、読み物としても楽しめました。
ITILの中でもインシデント管理・問題管理と呼ばれるような代表的なプロセスを集中的に掘り下げつつ、「管理のための管理」にならないよう大事なことが書かれています。
(ネタバレにならないようにしていますので、もっと知りたい方は読んでください〜)
「ITILとは何か?」ということよりも、「業務プロセスってどうやって改善していくのだろう?」という具体的な手法を知りたいという方は、この主任編から読んでも良いのではと思います。
前者の方は、新人編がオススメです。
ITILを学ぶ目的
この2冊を通じてITILを学ぶ目的は、2冊めのあとがきに書かれた、この一文に集約されていると感じます。
業務プロセスとは、いわばその組織における「共通言語」です。
「共通言語」だからこそ、誰か(創業社長とか)が勝手に決めたやり方ではなく、誰もが理解できて、使えて、管理できるものが必要です。
独りよがりなものではなく、組織全員にとって意味のあるもの。
そういう視点で見たときに、ITILという世界中の良い事例を集めたものは役立つのでしょう。
個人的には、こんな風に業務プロセスを改善している会社があったら、それだけで抜きん出ると感じています。
それだけ業務プロセスは適当に作られた会社が多いからです。
とは言え、本書を読むのに、肩に力を入れる必要はありません。
読みやすい物語として書かれているので、業務プロセス改善に興味のある方は、気軽に手に取ってみてはいかがでしょうか。
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【編集後記】
今日はイタリアンレストランを開店したばかりの知人のお店へ。
定期的にランチをご一緒している仲間とともに。
舌にも、アタマにも、嬉しい時間でした。
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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