書籍(紹介)

ソフト資源が経営に差をつける

昨日の記事では、成果を上げている会社がやっているのは、
何か特別なことではなく、アタリマエのことをフツーにやっているのだ、と書きました。

成果を上げている会社がやっている「フツーのこと」

今回は、これを補足したいと思います。

 

企業の独自資源とは?

私が著書をほぼ全て読んでいるマーケティングの(勝手に)師匠、佐藤義典さん。
この本では、企業の資源について、かなり深く掘り下げて書かれています。

ちなみに佐藤さんの考案されたフレームワーク「BASiCS」では、

  • 顧客に選ばれる理由を「強み」
  • その強みを支えるものを「独自資源」

として定義しています。
これによって、一般的に「強み」と一緒くたにされてしまうものをしっかり区別しています。
「独自資源」に支えられない「強み」は、すぐにマネされてしまうのです。

例えば、ある会社の安さが「強み」だとすると、競合も安さをマネすることは、すぐにできます。
しかし、長期的には、その安さを維持するだけの「独自資源」が必要になります。
独自資源がなければ、どこかで無理が生じて、値下げを継続できなくなるのです。

 

独自資源にはハード資源とソフト資源がある

そして、独自資源にはハード資源とソフト資源があります。

ハード資源とは、設備や、技術・知的財産、ITシステム、立地や資金力などです。
一方、ソフト資源とは、Skill(知識・経験・ノウハウ・仕組み)、Human Resources(人材・組織)、Outside relations(外部との関係)、Philosophy(理念・文化・歴史)などです。佐藤さんは、頭文字をとって、「ソフト資源のSHOP」と言っています。

他の戦略BASiCSの要素、「戦場・競合」、「強み」、「顧客」、「メッセージ」と一貫性を保ちながら、この「独自資源」を育てることを、経営者は求められています。

補足ですが、「資源」を論じると、「あ、リソースベースドビューね!」と言って、それ以前の「ポジショニング論」を頭から外してしまう人がいます。
しかし、この佐藤さんの「BASiCS」では、B(Battlefield)「戦略・競合」を同時に考えていることからお分かりのように、
リソース(資源)とポジショニングに一貫性を取る、実に良く練られたフレームワークです。
どっちかではなくて、どっちも考えるのです。

 

長期的な差をつけるのはソフト資源

話を元に戻して、「差別化できる強み(正確には独自資源)」というと、すぐにハード資源に目が向いてしまいがちです。
設備や立地や資金という分かりやすさが、そうさせるのでしょう。

しかし、小さな会社やフリーランスが注目したいのは、ソフト資源です。
(大企業に対しても、ハード資源よりソフト資源に注目することを勧めたいですが)

理由は一朝一夕でマネできないからです。
設備は購入すればマネできます。
立地も入手できればマネできます。

しかし、文化や人材は、簡単にはマネできないのです。
それが、昨日の記事で書いた、「アタリマエのことをフツーにやっている会社」が伸びる理由です。
分かっていても、すぐにマネできないのです。

昨日まで全く挨拶もできない人たちが、今日から丁寧に挨拶できるワケがありません。
散らかった職場に慣れている人たちが、今日から整理整頓できるワケがありません。
時間をかけて、少しずつ、経営者・全社員が変わっていく必要があるのです。

したがって、ソフト資源の差は、長期的な差となって現れます。
大きな資金や設備を持つのが難しい、小さな会社、フリーランスは、
特にこのソフト資源に注目したいです。

もちろん、戦略には一貫性が最優先事項ですから、BASiCSの他の要素を同時に考えることを
忘れないようにして下さい。

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【編集後記】
実は私自身、この1ヶ月程度は、ソフトな独自資源を強化するために時間を費やしています。
ソフト資源が強化されてくると、他者(社)には真似のできない、自分の強みを発揮できるようになると感じているからです。
この取り組みは、半永久的に続けていこうと思っています。

今日も素晴らしい1日になります。感謝!!

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