経営・セルフマネジメント

目指すは「少しずつ良くなっていく経営」

「VCから○億円調達して、何年でIPO!」

ベンチャーで最も注目を集めるのは、こんなストーリーでしょう。
こういうベンチャー企業の周りには、人もお金も、そして情報も集まってきます。
(当然、起業家が必死に集めている現実がありますが)

世の中の起業家が、ほんの一瞬は思い描く成功ストーリー。
でも私は、そんな起業だけが成功だとは思っていません。
むしろ、このストーリーだけが成功だとするなら、起業は勧められたものではありません。

 

何のために起業するのか?

起業は新たな価値を創造する試みであり、起業家本人にとっては「働き方」「生き方」です。
ということは、起業家自身の人生と、事業そのものが密接にリンクしています。

そのこと自体は起業家が一番感じていることではありますが、
だからと言って、事業の目標と人生の目標が一致しているとは限りません。

事業の目標と、人生の目標を一致させる

結構な割合で、個人としてのQoLを捨ててまで、事業に身を投じている起業家が多いのです。
無理して働き続けていたり、個人から事業へ大金を貸し出したり。

 

スピード成長よりも、「少しずつ確実に良くなる経営」を

人生と事業の目標が一致した上で、スピード成長を望むのなら、それで良いと思います。
しかし、「もっと早く成長しなければならない」という呪縛に囚われているケースも少なくないように思います。

スピード成長している経営者に刺激を受けたり、
VCや銀行、あるいは経営コンサルタントにそそのかされたり。
起業家本人の意思ではなく、なんとなく周囲に存在する「常識のようなもの」に囚われているのです。

しかし私は、必ずしもスピード成長が良いとも考えていません。
出資や融資を受ければ、それだけリスクも高まっていきます。
自社に対する期待値が上がりすぎて、プレッシャーが強くなることもあるでしょう。
その結果、自由を望んで起業したのに、自由を失ってしまうケースもあるのです。

先日お会いした社長は「年率10%以上の成長はさせない」と言い切っていました。
「今年は20%くらい成長してしまいそうなので、ブレーキをかけないと」とも。
その社長は、自社を良く見つめていて、適正な成長範囲をしっかりと見極めているように感じました。

私はスピード成長よりも、「少しずつ確実に良くなる経営」をお勧めしたいです。
スピード成長は、それを望む一部の方がチャレンジすれば良く、
その他多くの起業家にとっては、こちらの方が合っている、と感じるからです。

 

少しずつ良くなっていくことによる安心感

「少しずつ事業が成長していく」というのは、とてつもない安心感です。
ここでの成長は、売上や利益のことだけを指しているのではありません。

  • 従業員1人1人が成長する
  • 顧客との関係性が良くなっていく
  • パートナー企業との関係性が良くなっていく
  • 経営者と従業員の関係性が良くなっていく
  • 業務プロセスがスムーズに流れるようになっていく
  • 内部留保が少しずつ増えていく

etc

と言うように、ありとあらゆることを指します。
これらが、今日よりも明日、そして1年後、10年後が確実に成長していると感じられるのは、
経営者にとっては、この上ない安心感でしょう。

私は個人の人生は最期の瞬間がその質を決めると考えています。
死ぬその瞬間に「良い人生だった」と思えれば、極論、それで充分だと思うのです。

逆に若い頃に活躍して、名声を浴びたにも関わらず、晩年以降に落ち込んでしまった人生は、不幸だと考えています。
(私は大した活躍もしていないし、名声を浴びたこともないので分かりませんが・・)
現役時代に活躍して、引退後に凋落するスポーツ選手などは、分かりやすい一例です。
そんな人生を生きるくらいなら、死ぬまで少しずつ良くなっていく方が良いと考えているのです。

 

急激なジャンプアップよりも、「日々の改良+シフト」を

私はマラソン・トライアスロンを始めてから、急激なジャンプアップはあり得ないのだと、身にしみて感じています。
初マラソンは後半、ボロボロになりながらのゴール。4時間44分というタイムでした。
一緒に初マラソンに参加したメンバーと比べても、大して速くありません。

そこから少しずつ、日々の改良を加えていきました。

  • 柔軟性を上げるためのストレッチ
  • 走り方以前の立ち方・歩き方
  • マラソンに対応する身体の動かし方
  • 駆動力にもなり、スタビライザーにもなる体幹のトレーニング

何年もかけてこれらを行いながら、少しずつタイムを縮めていき、3時間28分まで到達しました。
ただ、日々の改良だけでは、どこかで限界というか、停滞期がやってきます。
それは事業も同じでしょう。

イノベーションを起こすためには、何かを「シフト」させる必要があります。
今までのやり方の「改善」ではなく、根本的に何かを「変える」。

私にとっては「マラソンのみ」から「トライアスロン」にシフトしたことが、カラダと心を強くしてくれました。
マラソンだけでは見えなかった自分の弱点や強みが、トライアスロンを通じて分かるようになったのです。
今はトライアスロンを前提に、上述したような日々の改良を始めました。

売上・利益だけでなく、全てが少しずつ成長していく経営。
これを多くの起業家に提案しています。

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【編集後記】
3日間の東北家族旅行を終えて、今日から通常モードに戻っています。
東北も暑かったですが、都内の暑さは半端ないです。
汗が止まりません・・

今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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