「攻めのIT」という言葉を経済産業省が使っています。
日本は、欧米と比較すると、売上向上やビジネス変革という「攻め」ではなく、
コスト削減や効率化という「守り」にIT投資が偏っているからです。
日本企業に対し、「攻め」のIT活用ができるように指導・支援したいのでしょう。
今日もこんなニュースが出ていました。
http://japan.zdnet.com/article/35065053/
では、一般企業が攻めのITに転じるために、IT屋は何をすれば良いのでしょうか?
戦略と戦術
私が強く感じていることは、戦略が求められているということです。
ただ、「戦略」という言葉は、ビジネスの現場では、かなり誤って使われています。
「戦略的には、、、」と語る人に、「それは戦術だよ!」と突っ込みたくなったことは、
数えきれません。
いきなり脇道に逸れますが、一度整理しておきます。
「戦略」とは、目標または目的を効果的に達成するための大規模かつ長期的な方法で、
戦争の総合的な準備、計画、運用の方法のこと。
「戦術」とは、戦略により定められた構想に従って実際の作戦や戦闘などを
効果的に行うための、戦略と比べ小規模かつ短期的な方法のこと。(世界大百科第2版より)
戦う前に立てる計略が戦略で、目の前に敵が現れたときにどう勝つか?が戦術、
と言い換えても良いでしょう。
戦争から離れて、ビジネスの現場に置き換えてみると、私は、
- 戦略=状況(シナリオ)を作ること
- 戦術=状況の利用すること
だと理解しています。
戦術で戦おうとしていませんか?
話を戻します。
私は多くの企業は、戦術レベルで必死に戦っているように思います。
例を挙げると、このニュースを見たとき。
http://www.asahi.com/articles/ASH5P53MKH5PPLFA00D.html
シャープ、ここまで追い詰められても、まだスペックで戦いますか?と。
スペックの戦いは、戦術レベルの戦いです。
そして、戦術レベルで勝とうとも、戦略レベルでの敗北を補うことはできません。
多くのIT企業、またIT部門は、お客様や利用部門がいう通りの仕様にしたがって
システムを開発してきました。
そのときに勝つための要素は、納期やコストやシステムのパフォーマンスというように、
泥沼の戦いになります。これも戦術レベルの戦いです。
決して、シャープを笑い飛ばすことはできません。
新しい世界を構想する力
では、どうすれば良いのか?
1つの例がこちらのニュースです。
http://ascii.jp/elem/000/001/012/1012038/
こちらの記事から抜粋しますと、
車は単なるトランスポーターではなく、顧客との接点となってくる。
つまりトヨタ自動車は年間1000万台の車を作って、売る会社ではなく、
1000万人の接点を世界的に創出している会社である。
こういうシナリオを作ること。
「新しい世界を構想する力」と言い換えても良いでしょう。
クラウド・ビッグデータにとどまらず、IoTが日々の新聞・雑誌に書かれるようになりました。
このような技術が、世界をどのように変えていくのか?
自分たちは、どのように世界を変えていくのか?
それは、顧客にどのような価値を提供するのか?
こういうシナリオを描くことに、正面から立ち向かうこと。
実は、仕様にしたがうだけ、スペックを上げるだけの方が、労働者になれるので簡単です。
その楽な方へ逃げてはいませんか?
しかし今こそ、経営者が率先して、シナリオを描くことに全力を挙げるときだと思います。
手前味噌ですが、こちらの本でトレンドを確認してみて下さい。
https://biz-it-base.com/?p=4123
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【編集後記】
今晩はライブ「司法書士 独立の現実とは?パネルディスカッション」を行います。
私は司法書士ではありませんが、友人の高杉さんに登壇をお願いしたのです。
裏方として、盛り上げたいと思います。
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!