IT戦略最前線

ケータイ3社決算に見るインフラビジネス

ケータイ3社の決算が出揃いました。
今年の話題は何と言ってもソフトバンク営業利益1兆円です。
日本で営業利益1兆円を超えた会社は、NTT・トヨタに続いて3社目とのことです。創業33年での達成は、快挙と言えるでしょう。

 

一方、ドコモの営業利益は2.1%減の8192億円。auは29.4%増の6632億円。
ドコモはこの数年、営業利益があまり大きく変化していませんから、ソフトバンクが後ろから一気に抜き去ったのですね。売上高、純利益ともにドコモを超えました。あとは契約者数がドコモ、auを超えれば、名実ともにナンバー1になります。

 


ケータイに限らず、インフラビジネスには一定の固定費が掛かります。
顧客が居なくとも、設備投資をする必要があるからです。ケータイ(モバイル)キャリアの場合で言えば、日本中に基地局を張り巡らすだけの投資が必要になるのです。

 

徐々に顧客が増え、固定費をまかなえるほどの顧客がついてくると、それ以降に増えた顧客からの収益は、ほぼ丸々、営業利益になります。

インフラビジネスは先行投資が発生しますので、黒字化までが大変なのですが、一定のラインを超えると利益が一気に増えてくるのです。

 


ただ、インフラビジネスには、もう1つ難しい点があります。古い設備から新しい設備への移行です。

各ケータイ(モバイル)キャリアはLTEと呼ばれる新しい設備へ顧客を誘導しています。
古い設備にいつまでも顧客が残っていると、設備を2つ保有することになり、運用・保守の人員工数やコストがかさんでしまうからです。

 

この点、ドコモは非常に苦しい状況にあります。
古いW-CDMAと呼ばれる設備を、まだ5千万人以上の顧客が利用しており、新しいLTEへ移行した顧客が1千万人居ないのです。

古い設備に顧客が残り続ける以上、新しい設備への投資も遅れがちになりますので、成長することが難しくなってきます。

 

この点、古いアナログ電話回線を持ち続ける羽目になっているNTT東西も同じことが言えるでしょう。

 


ソフトバンクに話を戻しますと、孫社長は積極的な攻めに出続けています。
アメリカではシェア3位のSprintを買収、第4位のT-Mobileの買収にも意欲を見せています。
上位2社(AT&T、Verizon)が大きなシェアを占めるアメリカ市場で、どのように食い込んでいくのでしょうか?

アメリカ出張したときに、モバイル通信が早くなったら嬉しいですね。

上でも書きましたが、インフラビジネスは設備投資先行のビジネスです。いかに顧客を取り込むか?が課題ですが、日本でドコモ・auに食らいついた手腕を見せて欲しいですね。

 


インフラビジネスの特徴を理解し、そこで自社が貢献できることはありますでしょうか?
例えば、顧客を新しい設備に誘導できるキラーコンテンツを提供できれば、キャリアに貢献できることになります。

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