IT戦略最前線

創刊号:システムインテグレーションビジネスの終焉?

2013年10月、NTTデータがクラウドブローカー(※)サービス

「マルチクラウドインフラ提供サービス」の提供開始を開始しました。

(NTTデータのニュースリリースより)

 

これによりNTTデータは顧客要求によって、複数の事業者から

最適なクラウドを選択し提供することが可能になります。

 

NTTデータのクラウドサービス(BizXaaS)や

NTTグループ他社のサービスだけでなく、

なんとAmazonのような外資系クラウドサービスも提供するそうです。

 

さらに、複数のクラウドを組み合わせて統合管理する

「マルチクラウドコントロールサービス」(2014年提供予定)を提供するとのこと。

 

(※)
クラウドの世界には、以下のようなプレイヤーが存在します。

 

・クラウドプロバイダー

クラウドサービスを提供する事業者
・クラウドブローカー

顧客の要求に応じて、複数のクラウドサービスから最適な

サービスを選択し、提供する事業者

 

・クラウドインテグレーター

クラウドプロバイダーのサービス上に、顧客システムを稼動させるための

インテグレーションを行う事業者

 

他にもありますが、大きくこの3つを把握しておけば、混乱はしません。

 


日本最大手のシステムインテグレータであるNTTデータが、

敢えてクラウドブローカーサービスに手を広げる理由は何でしょうか?

 

クラウドサービスの浸透は勢いが増すばかりです。

例えば自治体クラウドのように、

業界共通のシステムを利用するクラウド活用が一般的になってきました。

この10年で企業のシステム予算は、実に6割以上も削減されています。

(日本情報システムユーザ協会調査)

 

しかも予算の多くを既存システムの運用に取られているので、

新規のシステム投資する余力はほとんど残っていません。

 

さらに、急激なビジネスの変化に対応するため、

自社でシステムを保有するのではなく、

必要なときに必要なシステムを調達できるクラウドに注目が集まっています。

 

このような背景にともなって、

各企業が全てのシステムを個別にシステム開発することが減ってきたのです。

 

NTTデータのような日本最大級のシステムインテグレータにおいてすら、

個別のシステム開発案件だけでは、

利益の確保が難しくなることが予想されるのでしょう。

 


この予想から、もう一歩踏み込んで考えてみます。

NTTデータのような大手システムインテグレータが扱うプロジェクトは超巨大です。

 

 

そのため多くの作業を外注先に頼っていました。

さらにこれらの仕事は、さらに2次請け、3次請けへと発注されていました。

(実際には4次、5次と・・・)

 

しかし、システムインテグレーションのビジネスが縮小していくとどうなるでしょうか?

大手インテグレータを頂点とする商流のピラミッド構造が

崩れていくことが考えられます。

 

今後、大手インテグレータはシステム開発プロジェクトを

これまでほど外注しなくなるかもしれません。

 


さて、このようにシステムインテグレーションだけに依存する

事業モデルは終わりが近付いてきています。

新しい事業モデルの準備は進んでいますか?

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