日々のニュースから、IoT(Internet of Things)やビッグデータという言葉を目にしない日はなくなってきました。
あらゆるモノがネットワークにつながりデータを送出する。
それらの膨大なデータが新たな価値を生む。
そのような流れが加速してきたからだと思われます。
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とは言え、IoTやビッグデータが活用される分野は、非常に多岐に渡ります。
ずいぶん前から注目を浴びているスマートグリッドや、車、スマートシティなど、枚挙にいとまがありません。
全てのトレンドを追いかけることは難しいと思います。
これらの中で、私が最も注目したいのが、製造業での活用です。
製造業のネットワークは大きく2つに分かれています。
他の業界と同じように、Webやメールなどを行う情報系ネットワーク。
そして工場や生産ラインのために利用される工場系(生産)ネットワーク。
情報系ネットワークは、インターネットで利用されている汎用的な技術・製品が幅広く利用されるようになり、効率もセキュリティレベルも上がりました。
少し技術的な話になりますが、10数年以上前のネットワークは、情報系であっても、イーサネット以外の接続が多々ありました。
トークンリングやFDDIなどです。
レイヤ3になるとIP以外のプロトコルも多くて、NetWareが利用していたIPXやAppleのMacintoshが利用していたAppletalk、さらにはSNAやDECnetなど、多様なプロトコルが利用されていました。
これらが10数年かけて、イーサネット+IPという標準に統一されたことで、運用効率やセキュリティレベルが上がりました。
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一方、工場の生産ラインを見ると、その状況は10数年前の情報系ネットワークのようです。
機器もケーブルも運用方法もバラバラ。効率が悪いのは当然です。
ある機器が生み出した貴重なデータを他の機器で利用するためには、USBメモリなどで人がデータをコピーしてやらなければなりません。
ウイルスやマルウェアに感染したUSBメモリにより、セキュリティ事故に発展したケースもあります。
こんな現状を改めて、工場系(生産)ネットワークも情報系のように統合してみたら。
さらに情報系ネットワークとの接続を進めてみたら。
今まで人手でコピーしていたデータがセンサー間で自動連携して、生産効率の最大化がはかれるようになったり。
あるいは工場内のセンサーで集められたデータが、情報系のERPと連携し、販売・物流を含めた効率化ができたり。
効率化だけでなく、データから得られる知見が、新たな戦略につながることもあるでしょう。
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どうやら日本だけでなく世界的に、工場におけるオペレーションの効率の悪さは続いているようです。
韓国のサムスンが、この点を徹底的にテコ入れして、効率を上げることで成果をあげています。
日本の製造業こそ、IoT時代を先取りして成果を高めることで、高い競争力を取り戻せるのではないでしょうか?