大企業のITは、この20数年間、マイクロソフトに縛られてきました。
Window NTでユーザー管理をする仕組みとして「ドメイン」が生まれ、後にWindows 2000のActive Directory(AD)が登場。
大企業に置けるユーザーアカウント(ID)は、ADに統合されていきました。
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ITは(ユーザー)IDを中心に考える時代に
ADは、これまでは自社で構築したWindows Server上に構築されるものでした。
しかし、マイクロソフトが提供するクラウドサービス「Azure」「Office365」にADの機能が統合されてきています。
つまり企業は、自社でADを持たなくても、マイクロソフトが提供するクラウド上のADを利用できるようになっています。
特にOffice365を利用し始めた企業は、少しずつユーザーIDの管理がクラウド側にシフトしています。
このIDを押さえていることが、マイクロソフトが大企業ITを牛耳っている何よりの強みです。
クラウド市場を見ても、トップランナーのアマゾン(AWS)よりも、マイクロソフト(Azure)の方が成長率が高いのは、大企業のクラウドシフトがAzureに向かっているからでしょう。
「Windows」「Office」という従来の稼ぎ頭すら見せ玉にして、IDという武器を使って自社のクラウドに誘い込む。
そしてIDを武器に、次のサービスを次々と展開する。
例えば、モバイル管理をする「Intune」が登場したとき、マイクロソフトという会社の戦略性の高さに驚き、冷や汗が流れました。
ちなみにIDは今や、情報セキュリティの一丁目一番地です。
かつてはネットワークがセキュリティの中心でしたが、今やネットワークでセキュリティは守れないというのが、業界の常識になりつつあります。
中小企業のITはGoogleかMicrosoftを中心に展開する
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
中小企業の多くはActive Directoryのような制限がありません。
あったとしても、大企業のように何万人・何千人を管理する仕組みとして機能させているわけではないので、抜け出すのが簡単です。
ある意味、ゼロベースで決めることができます。
私は過去の情報資産がない中小企業の方が、ITは革新できると言い続けていますが、IDについても同じことです。
現実問題として、ID管理の中心となり得るのは、GoogleとMicrosoftです。
G Suite(Google版のOffice。以前はGoogle Appsという名称)か、Office365か。
どちらを中心に利用するのかによって決めましょう。
多くの企業が利用しているのはOffice365です。
他社とファイル共有するときもOfficeファイル(Word、Excelなど)であることが多いですね。
一方、他社と共同で編集することが多いなら、G Suite(Googleスプレッドシートなど)の方が便利です。
他クラウドサービスをID連携で選ぶ
また、他のクラウドサービスとIDが連携しているのか?を確認するのも良いでしょう。
例えば会計ソフトのfreeeでは、ログイン時にGoogleアカウントやMicrosoftアカウントと連携できます。
利用するクラウドごとに、別々のアカウント(ID)を取得すると、異動や退職があったときに迅速に対応できません。
ID管理はできる限りGoogleかMicrosoftに集中させて、他のサービスは連携させる方が、管理負担を減らせます。
逆に言うと、ID連携できるサービスを選ぶという基準もあります。
もちろん、まずはそのクラウドに求める機能があるのかが大事ですが。
機能面・価格面で差がなければ、楽にID連携できるサービスを選んでしまおう、と言うことです。
自社に設備としてサーバーなどを導入する必要性は、確実に減っています。
その変わり、数多くのクラウドを利用する以上、「選ぶ基準」が必要になってきています。
そのとき、今回のような「ID」を中心とする考え方が、現代の情報セキュリティの基本です。
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