ランニング・トライアスロン

断固たる決意【バラモンキング2017悶絶記2】

3度目となる五島長崎国際トライアスロン(バラモンキング)。
スイムは順調に終了して、バイクに向けて気合を入れたのでした。

過去の記事はこちら。

 

人生史上、最悪の忘れ物

自分のナンバーが書かれたバイクバックを手に取り、更衣室へ。
既に多くの選手が着替えている。
周りを見渡すが、チーム「ポセイ丼」の仲間は居ない様子。
自分が今のところトップかな?などと思いつつ、バイクバックを空けて中身を取り出すと・・

 

「バイクシューズがない!!(ホテルに忘れてきた。。。)」

狼狽、困惑、錯乱、パニック、混濁・・

2015年のバラモンキングでゴールしようとした刹那、
共にゴールシーンを決めようと約束していた羅王がゴールテープを先に取ってしまうシーンがあった。
羅王は「豆が鳩鉄砲食らったみたいなえぇ。。さん」と表現している
だが、このときは鳩じゃすまないくらいの衝撃を受けた。

「シューズがないと走れないのか?」
「ヘルメットは必須だけど、過去にビーチサンダルで走ったというブログもあった」

スタート前、あんなに時間にゆとりがあったのに。
過去に何度もレースに参加しているのに。
1年間、バラモンキングのために練習してきたのに。

悔しいし、情けなさすぎる。

 

断固たる決意

2人の自分が強烈に葛藤・対立する。

「もう無理でしょ。リタイアするしかないよ」
「いやいやいや、自分からリタイアなんてありえない!」
「過去2回、シューズ履いてもあんなにツラかったんだ。無理だよ」
「無理じゃない!仲間と絶対ゴールするんだ!」

冷静になるために、補給用のジェルを採る。
タオルでとりあえず濡れた身体を拭く。
周囲を見渡しながら、何事もなかったような顔をしているつもりだったが、間違いなく挙動不審だったろう。

「7~8時間もシューズなしで走る馬鹿がどこに居るんだよ?諦めようよ」
「知るか!やりきってないのに自分から諦めるのだけは絶対にヤダ!!」

どれくらいの時間が経ったか分からない。
周りの選手は準備を終えて、次々とバイクに向かっていく。羨ましい。

スタート前に預けた荷物(プレスイムバック)にクロックス(ビーサン)が入っている。
しかし既にスタートから1時間以上が経過していた。
取りに行っても、既にゴール地点に向けての荷物輸送が始まっているかもしれない。
問い合わせしている時間が浪費されてしまう。
制限時間ギリギリの実力しかない自分には、迷っている時間の無駄が、そのままゴールの可能性を削っていく。

時間のない極限状態での判断。

「行くんだ!」
「ルール違反で止められたら仕方ない」
「自分からは絶対に諦めない!」
「行けるところまで行こう。やりきるんだ!」
「息子にパパ頑張ったよ!って伝えるんだ!!」
「仲間と絶対にゼッタイにゴールするんだ!!!」

決意は固まった。

靴下だけ履いて、そのまま進むことに決めた。
裸足のままという選択肢もあったが、靴下が邪魔なら、あとで脱げばいい。
審判の目を気にしながら、恐る恐る、ペダルを回し始めた。

バイクコース

 

 

晴れやかな気持ちと、厳しいバイクコントロール

10km走る。何人もの審判に見られたけど、止められなかった。大丈夫そう。
沿道からの温かい応援に応える。

気持ちは晴れやかだった。
天気も良くなって来たし、何よりもバラモンキングのバイクコースを走っている。
一瞬、リタイアが脳裏をよぎっただけに、ただただ走れていることが嬉しかった。(バイクシューズないけど)

一方、バイクシューズがないことは、予想以上に苦しかった。
まず何よりも足の裏が痛い。
ペダルがビンディング用の形状なので、素足にはもちろん向かない。
20kmを超えた辺りで、ペダルを裏側にした。
それから一箇所で踏み続けないように、場所を頻繁に変更した。

さらに、ギアチェンジのたびに脚が止まってしまう。
ギアを変えると回転数が変わるので、靴下だとペダルから脚が離れてしまう。
特に2段、3段と急激にギアを変えるときは、完全に脚を止める必要があった。
テクニカルなバラモンのコースで、明らかに減速する原因となってしまった。

同じ理由で、ケイデンスも上げられない。
速いケイデンスにしすぎるとペダルから脚が離れてしまう。
安全圏は90回転/分以下。
「軽いギアでクルクル回す」作戦は、これで封じられた。

そして、ダンシングができない。
踏んだ瞬間に脚がズレる可能性があり、怖くてできなかった。
急激な登りのポイントでは、ダンシングで一気に進みたかったのだが。。

また、ダンシングには休憩の意味もある。
ずっと同じ姿勢でいると、疲労が溜まったり痛みが出てしまうので、
適度にダンシングすることで、身体の負荷を散らそうと思っていた。
が、それも諦めるしかなかった。

100kmを超えてくると、ペダルが「遠い」ことが気になってきた。
シューズ底の厚さ分、普段よりペダルが遠くにある。
短時間ならそんなに気にならなくても、疲れが溜まってくると、その数ミリの遠さが大きな負担になってくる。
足りない数ミリを埋めるために、爪先立ちをするとふくらはぎに負担がかかる。
左右に身体を振ると、サドルの圧力が増して、お尻が痛くなる。

他にも色々とあったのだが、「シューズって大切なのね」と身に染みて感じた。。

ちなみにシューズを履いていないことで、レース中に20人ほどに話しかけられた。
「ポセイ丼、ブログ読んでます!」という嬉しい方には、「またブログネタができちゃいましたよ」と。
「シューズ・・どうしたんすか!?」という方には、「ホテルに忘れてきちゃいました・・」と。

知らない方々と会話できたこともレースの思い出。
なおレース後、「ポセイ丼でシューズ履いてない奴がいたろ」と元帥に通報があったそうで・・
もうお詫びするしかない。

これが証拠写真。

せめて黒い靴下を選んでおけば、もうちょい目立たなかったかもしれない。

 

バイク練習の成果

バイクスタート後は、まずは自分を落ち着かせるために、ゆっくり進んだ。
後ろから速い人たちがガンガン抜いていくが、気にしない。
シューズがあったとしても、自分は大して速くない。
それよりも、180kmを走破できるペースを保つのが大事。
きっと過去2回は、実力に反して最初に攻めすぎていたのだろう。

平坦な場所ではチェーンを引く感覚を大切に。
登りは軽いギアにして、無理して踏まない。体重移動を意識。
下りは重いギアをかるーく回すだけで、脚を休ませる。(シューズないけど)

去年、スタート直後でみよっしーに抜かれた場所を通過。
まだチームの誰とも会っていない。
周回コースのスタートとなる二本楠交差点を左折。
スイムでカラダが冷えたため、トイレに行きたくなってくる。
とりあえず大宝のエイドでトイレに行こう。(シューズないけど大丈夫か?)

トイレに行っている間に仲間に抜かれていると思ったが、
大宝から中須に向かう途中でみよっしーとすれ違う。
レース開始後、初めて仲間に会った。

中須を超えると、バラモンバイクコースの難所が現れる。
前日の下見もあって、細かくコースを覚えていたためか、比較的苦労せず進む。
毎年、大きな団扇で扇いでくれる応援団の方と、談笑するゆとりがあった。
天気が良く、高浜海岸は神秘的と言って良いほどキレイだった。(シューズないけど)

1周目のスペシャルバックはパス。
今年は最小限の補給で済ます方針。

10kmごとにグミを食べ、30kmごとにジェルを取る。
たまに気分転換にミックスナッツを食べる。
エイドでは水をもらって、頭・首・腕を中心にかけ水をして、体温上昇を防ぐ。
1周終わって、二本楠交差点を直進。

バイクパートはここまでで3時間30分弱。
平均速度25km/hを1つの目標にしてきたが、それくらいでは走れていた。
厳しいバラモンコースで。
この1年間のトレーニングの成果を感じて嬉しくなった。(シューズないけど)

確かに少し疲れてきたけど、過去2年間の比じゃない。
目標の13時間切りのペースで進んでいる。
そんな高揚感を覚えながら、2周目に入っていく。(シューズないけど)

 

バラモンバイクコースの厳しさと、体力・膝の限界へ

2周目も似たような場所でみよっしーとすれ違う。
他の仲間とは、まだ一度もすれ違っていない。

2回目の西岸の厳しいゾーンに入っていく。
1周目と明らかに負荷が違う。
ここに来てシューズを履いてないことが一層、厳しくなっていく。
ペダルの遠さを感じて、動きにくさを感じてしまう。

ケイデンスが落ちて、パワーも落ちている。
姿勢が悪くなっているのが自分でも分かる。
1つ1つの登り坂が長く・高く感じていく。
ギアを最も軽くしても、まだ重い。

やはりバラモンのコースは厳しい。
そんなとき、左膝に違和感を覚えた。
最初は登り坂で強く踏んだとき。痛い。
徐々に平坦でもペダリングするだけで痛くなってきた。
痛みの種類と場所から、腸脛靭帯炎をやってしまったのだと確信する。

これまでランニング・トライアスロンをやってきて、
右膝はやってしまったことがあるが、左は初めてだった。
登り坂が来るたびに、必死に右脚だけで対応する。

そんなことを繰り返していると、じきに体力にも限界が近づいてきた。
上記写真のように肩・腕に力が入り、お尻と腰が痛い。
サドルに座っているだけでつらくなってくる。
それでも何とか2周目を終えた。

 

再度リタイアとの戦い。そしてバイクゴールへ

この時点で144km。まだ30km以上残っている。
しかもジェットコースター坂を含めて、アップダウンがまだまだ続く。
今の膝・体力だと、2時間かかるかもしれない。
膝の痛みを考えると、とても走れるとは思えない状況だった。

「リタイアか・・」
「やれるところまでやったんだから仕方ない」

そんな気持ちが生まれ始める。
スタート地点で断固たる決意をしたはずが、心が折れていく。

ただ、制限時間までには、まだ余裕がある。
だったら、目標13時間切りは諦めても、休憩して回復させればいい。
とりあえず、ゴールではなくて、折り返し地点の野々切交差点まで行こう。
リタイアするかどうかは、そこで考えよう。

これまで、トイレ1回を除くと、ほとんどエイドでは止まらなかった。
止まらないことが一番速いことを、過去のレースで学んでいたからだ。

ただ、今はもうそんなことを言ってられない。
リタイアするくらいなら、エイドで休憩することにした。
バイクを降りて、ストレッチをする。
ただ、腸脛靭帯炎のときに屈伸をすると、トドメを刺す可能性があるので、それは避けた。
気分転換のためにエイドのクッキーを食べたり、エイドのスタッフとお話ししたり。

そのうち、エイドでない箇所でもストレッチしないと膝が痛くなってしまった。
そうこうしているうちに、みよっしーと仙人が抜いていく。
2人ともあっという間に見えなくなった。
私も彼らのように後半に強くなりたい。

中央公園付近の折り返しで元帥とすれ違う。
これで自分を含めた4人の位置関係が分かった。
他の4人は、きっと後ろだろう。

そんなことを考えているうちに、リタイアのことは頭から消えた。バイクゴールまでは行こう。
最後の折り返し後、野々切交差点からゴールまでが異様に長く感じられたが、ギリギリゴールまでたどり着いた。
この時点で時刻は15:45頃だった。
今まででは一番速いペース。
最後、かなりペースダウンしたけれど、前半は良いペースだった。
練習は裏切らない。

しかし、そもそも走れるのか?
明らかに危険信号を発している膝に不安を覚えながら、バイクを預け、更衣室へ入った。

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【編集後記】
レース中も、レース以外でも、五島にいる間は「ポセイ丼」って何度も呼ばれました。
3回出場して、ユニフォームが目立つこともあって、覚えてもらえているようです。

今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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