日頃、社長たちと会話をしていると、強く感じることがあります。
「政府や自治体が、社会が目指す方向性を伝えられていない」のです。
ドイツのインダストリー4.0の良いところ
私はドイツに行ったことがありませんし、実際の企業の声も、直接は聴いたことがありません。
ですからドイツの話は美化されて伝わってきているところもあるという前提で・・
ドイツがインダストリー4.0を掲げてから素晴らしいと感じているのは、
企業に対して、これから国が向かう方向を示したことです。
国中の工場をつなぐ。
国全体を大きなバーチャル工場にして、あらゆるものづくりに対応していく。
実際に国全体がバーチャル工場になるためには、
生産設備をネットワークにつなぐだけでは全く足りません。
在庫や仕掛品の数、人や設備の稼働状況、物流情報、注文情報など、あらゆる情報を流通させなければなりません。
大企業から順次対応しつつ、中小企業は小さな一歩を踏み出しているというのが現状のようです。
聞いた話ですが、3月頃に行われたCEBITでは、中小企業はそれを自覚していて「インダストリー3.1」という表現をしていたそうです。
お金も人もノウハウもない中小企業が、いきなり最終形は目指せない。
だから、今の自分達ができる一歩を着実に進む。
生産設備に小さなセンサーをつけて、工場の稼働状況を見える化する。そんなことです。
それを見たCEBIT訪問者が「こんなレベルなら既に日本はやっている」と発言したというような話も聴きますが、
このような背景を知っていたら、同じコメントを発することができたでしょうか?
私は、中小企業が着実に進化するための、非常に良い姿勢だと思います。
それもこれも、「ドイツ全体の工場をつなぐ」という目標を見せたことが原動力となっているのです。
日本の中小企業は迷っている
私は同じような目標が日本にも必要だと思います。
色んな中小企業、特にIT系企業と製造業の話を聴く機会が増えていますが、
社会がどのような方向性に向かっているのか?
分かっている経営者が極めて少ないからです。
結果、自分たちが付き合いのある経営者同士や、銀行、公的支援機関などの情報を咀嚼して、
自分で方向性を模索するしかありません。
情報ソースが限られますから、どうしても描く社会像が地域的にも時間的にも小さくなってしまいがちです。
当然のことながら、個々の会社が、自分たちの向かう方向性は考える必要があります。
ただその前に、日本政府として日本という国をどのように発展させていきたいのか?が大切です。
確かに色んなところで「ビッグデータ」「人工知能」「IoT」と連呼しているのは分かっています。
しかし、中小企業の社長が欲しいのは、そのようなキーワードではなく、どのような社会を目指しているのか?ではないでしょうか。
実際、私の知る公的支援機関に属する専門家たちも、日本が進もうとしている方向性を把握している人はいません。
ドイツのように端的で明確なメッセージが欲しいものです。
日本が目指す姿は?
政府に期待したいのは、「ビッグデータ」「人工知能」「IoT」というキーワードではなく、それをどう使っていきたいのか?
技術は手段に過ぎません。
もちろん、大学を含めて基礎研究は必要ですから、そこを担う人たちに向けたキーワード発信も必要です。
ただ、それだけでは足りないのです。
ドイツをパクって「日本中の工場をつなげる」でも良いと思うのです。
小さな町工場までメッセージがちゃんと浸透するなら。
こういうメッセージがあれば、小さな一歩を踏み出すことができますし、議論を活性化することもできます。
実際にドイツでは、「ドイツ中の工場がつながるのは良いけど、データ形式を統一しておかないと意味がないよね!」
ということで、各設備が出力したり、サプライチェーンでのデータ形式の標準化が進んでいます。
他にも様々な議論が生まれていることでしょう。
私が日々、日本の中小企業と接している限りでは、まだまだ日本はそのフェーズに至っていません。
政府の皆さんにはそういうことを期待したいですし、そういう将来像を描けそうな政治家に、投票しようと思っています。
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【編集後記】
今日は妻と早朝ランニング。
データを見る限り、妻は楽な心拍数でゆったり走っているのですが、
私は心拍ゾーン4〜5に入りっぱなしで、つらい8km弱でした。。
早朝に弱いのか、暑さに弱いのか・・
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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