「顧客は誰か?」
ドラッカーが私たちに投げかけてくる、代表的な質問の1つです。
とても大事な大事な質問ですが、その使い方を間違ってはいけないと感じています。
自分にも、顧客にも問い続ける質問
私はこの2週間、自分の顧客が誰なのか?を書いては消し、また書いては消し、を繰り返しています。
この本を傍らに置きながら。
随分と悩んでいますが、少しずつ、自分にしっくり来る言葉を見つけ始めました。
同じように、顧客にもこの質問を投げかけることが多いです。
単にこの質問を投げかけるだけでなく、事例を一緒に質問することが多いです。
「先日のA社さんは、御社の顧客にしたいですか?それはなぜですか?」
こんな風に質問を投げかけながら、顧客に求める判断軸を明確にしていくのです。
多くの会社ではこの判断軸が曖昧なままであることが多いからです。
目の前の売上が欲しくて、ついつい案件を取ってしまう。
そして後悔したり。
案件を取ると判断した営業は喜んでいても、後工程で動くエンジニアが不満をぶちまけている。そんなケースもシステムインテグレーターでは数多く見てきました。
経営者も現場も、営業もエンジニアも、皆で同じ判断軸を持っていないと、組織がチームとして一体化しません。
だから私は、邪魔くさいと思われても、この質問をし続けるのです。
顧客を定義した後の行動が大事
では、この質問を考え続け、組織で判断軸が一致すれば、それだけで良いのか?
私はそうは思いません。
皆で判断軸を一致させても、その結果として顧客(候補)への働きかけ方を間違えると、むしろ害になってしまうからです。
本当に良く見る行動は、
「この顧客はうちが望む顧客じゃないから切りましょう」
とサクッと顧客を切り捨ててしまうことです。
実は私も現場のエンジニアだった頃は、そういう判断をしがちでした。
エンジニアとしては、面倒なプロジェクトに巻き込まれたくないからです。
明らかに軸から大きく外れる顧客であれば、最初から判断できます。
そのような場合には、さっさとお断りしてしまえば良いのですが、実際には微妙に迷うグレーゾーンが多く現れます。
大きな組織ほど、そういうケースが多いでしょう。
そういうグレーゾーンが現れたときに、サクッと切り捨ててしまうことは、大事な可能性を捨てることになってしまいます。
顧客を定義し、判断軸を明確にしたのは、そんなことのためではありません。
顧客の定義は、顧客を導くために使う
グレーゾーンの顧客が現れたとき、私は顧客を導くために「顧客の定義」を使います。
例えば、私の顧客の定義の中には、「成長意欲がある」という言葉があります。
顧客(候補)が現れたとき、その方に成長意欲があるかないか、最初は分かりません。
会話していくうちに、あまり成長意欲を感じなかったとしましょう。
でも私は、それだけで切り捨てることはしません。
その顧客候補が、そもそも成長意欲が低いことを自覚していないことが多いからです。
私はその方に、自分が成長するとどんなに良いか、事業が成長することがどんなに楽しいか。そういう話を共有します。
顧客候補が話に乗ってきて、「よし、自分も成長するぞ」と思ってくれれば顧客なのです。
逆にどんなに共有しても全く乗ってこなければ、顧客ではなかったと諦めることにします。
つまりグレーゾーンの顧客候補に対しては、自分の「顧客の定義」に入ってくれるよう、できるだけ魅力的に案内しようとしています。
組織全体で自分たちの判断軸に納得していなければ、魅力的に案内することはできません。
顧客を定義することは、最も魅力的なセールスストーリーを描くことにつながります。
捨てるためだけではなく、売上を上げるために、顧客の定義を大事にしたいと思っています。
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【編集後記】
昨日は中小企業診断士受験生向けのセミナー&交流会にて、
講師として参加させていただきました。
私からは社内での異動や独立に、診断士が役だったことをお伝えしました。
交流会では色々な質問をいただくなど、活気のある場でした。
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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