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【アップグレード!!ネットワークエンジニア】
(毎週月曜日発行)2009.03.23 Vol.6
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◆INDEX◆
1.はじめに
2.理論と実践のサンドイッチ
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◆はじめに◆
おはようございます、Ritzです。
ずいぶん暖かくなってきたような気がします。
先週は、久々にコートを着ないで仕事に出かけました。
オシャレな女性は、春物の服に変わっているように見えます。
東京では21日に桜の開花宣言がありました。
今週末あたりが、お花見にベストになるでしょうか?
呑み過ぎ注意ですね・・
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◆理論と実践のサンドイッチ◆
今回は、本当に役立つ技術力をつけるための方法について
考えてみます。
初めてネットワーク技術を学ぶときに、CCNAの勉強から始める人は
多いのではないか、と思います。
(いまどきですと、CCENTから始める人もいるかもしれません)
要するに、仕事としての実践の前に、資格勉強をするパターンです。
資格勉強を終えた後、仕事(案件)を通して、
実際に機器を設定する期間に入ります。
さて、仕事(案件)の後に改めて、書籍やWebなどで、
自分の知識整理を行っていますでしょうか?
例えば、仕事において
○上手く設定が出来なかったところ
○スムーズに設定が出来なかったところ
○基礎や理論が理解出来ていないと分かったところ
をきちんと復習することが大切です。
実践で見つかった穴を復習することで、
【 資格取得で得られた知識を、現場で活かせる知識に 】
変えていくことが出来ます。
例を考えてみましょう。
資格取得の過程で、HSRPの勉強をしたとします。
その後、あなたは仕事(案件)でHSRPを含むネットワーク構築の
担当になりました。
しかし、いざHSRPの設定をしてみると、
何やらトラブルが発生してしまいました。
それまで問題なく順調に動いていたネットワークまで
通信出来なくなってしまったのです。
調べてみると、あなたが設定したHSRPの仮想IPアドレスに対応する
仮想MACアドレスが、他のいくつかの機器とバッティングしていることが
分かりました。
同一ネットワーク(正確にはブロードキャストドメイン)内に
同じMACアドレスを持った機器が、複数存在してはいけません。
HSRPの仮想MACアドレスは
00-00-0c-07-ac-[グループID]
で決まります。それを意識せずに、グループIDを適当に
付与してしまった結果の障害でした。
今後、HSRPを設定するときには、近隣の機器でHSRPを使っているか?
使っている場合にはグループIDを確認するようになるのです。
ここまで書籍やWebなどで復習出来れば合格ラインだと思います。
ついでに調べてみるとHSRPと似たような仕組みであるVRRPの
仮想MACアドレスも
00-00-5e-00-01-[VRID]
で決まることが分かりました。
つまり、VRRPを設定するときも、HSRP設定時と同様、
近隣の機器の設定を確認しながら、VRIDを選択しなければなりません。
ここまで調べられると、
【 1つの実践から2つを学べる人 】
になります。
さらについでに。
VRRPがなぜHSRPと似ているか?と言うと、VRRPはHSRPを参考にして
開発・標準化されているからです。
RFC 2338(VRRP)を読んでみると
http://www.faqs.org/rfcs/rfc2338.html
VRRP provides a function similar to a Cisco Systems, Inc.
proprietary protocol named Hot Standby Router Protocol [HSRP] and
to a Digital Equipment Corporation, Inc. proprietary protocol
named IP Standby Protocol [IPSTB].
と書いてあります。
(HSRPだけでなく、DECのプロトコルも参考にしていたのですね)
RFC 2281(HSRP)のカテゴリが 『Informational』なのに対し、
RFC 2338(VRRP)はカテゴリが 『Standards Track』なので
VRRPは、色んなメーカの機器に実装されているのだな、と分かります。
HSRPは、Cisco独自のプロトコルです。
現在のCCNP(BCMSN)を勉強すると分かりますが、Ciscoの機器でも
VRRPはサポートされています。
もっとHSRPとVRRPの違いを掘り下げていくと、
Helloに使っているプロトコルが違う等が見つかります。
つまり、インターフェースに対して、アクセスリスト(ACL)を
IN方向でかけている場合、HSRPとVRRPではpermitすべきACLが
変わってくる、ということですね。
もうここまで調べられると、
【 1つの実践から10を学べる人 】
になります。
ここまで到達するのは、最初はなかなか難しいかもしれません。
でも、一つ一つの疑問を丁寧に調べていくと、
次第にこうして、深く掘り下げていくことが可能になります。
このように、一つの実践を通して得た経験(種)は、
その上に大きな木を育成します。
しっかりと復習して(水と太陽を与えて)、大きな木を育てましょう。
そして、その高まった経験と知識を持って、
次はより難易度の高い実践に挑んでいくのです。
これを私は、
【 理論と実践のサンドイッチ 】
と呼んでいます。
次の実践の後に、もっと大きな木が育つのは、言うまでもありません。
まずは、実践の後に、キチンと復習することから、始めてみましょう!
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<今号のポイント>
○実践の後の復習は、非常に効果が高い
○復習を通して、記憶を実践で活かせる知識に変えられる
○復習後の次の実践で、さらに高みを狙えるようになる
今回(Vol.6)の内容はいかがだったでしょうか。
是非、こちらまでご意見をお願い致します。
http://form.mag2.com/thapitraph
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ネットワークエンジニアとして、最も押さえるべき基本は
やはりTCP/IPです。出来るならば、資格勉強に入る前に
一通り読破しておきたいです。
●マスタリングTCP/IP 入門編
http://www.amazon.co.jp/dp/4274066770/ref=nosim/?tag=ritz0c-22
私はルーティングやスイッチングを学ぶ前に、
この書籍でTCP/IPの基本を身につけました。
何事にも言えることですが、まずは全体像を見渡すための
土台を作ることは重要だと言えます。
基本を身につけた後は、どの分野でも、掘り下げていくことが出来ます。
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◆編集後記
実はこのメルマガでは、あまり技術的な内容を深く掘り下げる
予定はありませんでした。技術を丁寧に解説している
書籍・Web・メルマガは、良いものが既にたくさんあるからです。
このメルマガの目的は、資格取得などで得た知識を、いかに上手く
使っていくか?どうやって若手・初級エンジニアから、次の
ステージへアップグレードしていくか?です。
しかし今回は、少しだけ技術を掘り下げてみました。
勉強の過程を示したかったためです。
書いてみると、技術ネタも楽しいものですね。
どうでしたでしょうか?
今後も機会があれば、技術ネタも書いていこうと思います。
ご購読、ありがとうございました。