この週末は、生前のピーター・ドラッカーから直接教えを受けた藤田勝利さんのセミナーに参加してきました。今回は、ドラッカーのいう原則をもとに、システムインテグレーションビジネスを見てみたいと思います。
このセミナーには、システムインテグレータで働いた経験のある人が複数人いました。結論から書くと、皆、同じ悩みを抱えているようです。
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ドラッカー・マネジメントの基本は、マネジメントを
- 個別バラバラの機械的な機能ではなく、
- 統合的(Holistic)で人間的な思考体系
と捉えていることです。バラバラの機能とは、具体的に書くと、
- 戦略
- マーケティング
- イノベーション
- 組織、チーム
- 会計
- IT
などを指します。
会計に偏重した企業は、数字ばかりを見て、物事を判断してしまいます。その背後にある各事業の状態(立ち上げ時期、成長期、衰退期など)を把握もせず、コスト一律10%カットなどをやってしまいます。本来は各事業の状態を確認し、全社戦略や事業戦略に合わせて、今後の方針を決めていくべきでしょう。
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ITについても同じことが言えます。課題図書(本記事の末に紹介しています)で示されたケースを見て、その場に居たシステムインテグレータ経験者全員が、
「良く見る事例過ぎて、笑えない」
と感じたのでした。そのケースとは、
- 経営(事業)戦略とシステムの間につながりがない
- 社長はシステムのことを理解せず、担当者に丸投げ
- 戦略の理解がないまま、現場の要求をマトモに受けてしまう
- その結果、機能要件が膨らみ過ぎてしまう
というような内容です。
システムは導入することが目的ではありません。本来は戦略を実現する手段として、システムが導入されるはずです。
にも関わらず、上記のような問題が頻発しているとするならば、企業のシステム部門やシステムインテグレータは、経営(事業)戦略を
理解しないまま、プロジェクトを遂行しているということでしょう。
顧客の戦略と、システムに対する要求仕様をしっかり橋渡しする。このことが多くの企業でできていない、とも言えます。
海外を含む数多くの企業で、これができていないということは、チャンスです。参入障壁が高いからです。
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企業(事業)戦略とITを融合するチカラ。
それを身につけたシステムインテグレータは、当面の間、強いビジネスを実現できるのではないでしょうか。