こんにちは。渋屋です。
日々、マネージャとして仕事をする中で、人はどうしても各論に走りがちだと感じます。(私も含め)
失敗のケース
例えばこんなケースがあります。スケジュールが非常に厳しいシステム導入プロジェクトが始まりました。プロジェクトマネージャは何とか納期を遵守するために、無駄を発生させず、手戻りを無くすために奔走しています。メンバー達も何とかスケジュールを守ろうと残業をして、必死に仕事を進めました。多くの方の努力が実り、何とかスケジュール内に新システムを稼動することが出来ました。
しかし、実際に新システムを使ってみると、今までのシステムと比べて、何ら良くなっていません。少なくとも利用者にはそのように感じられたそうです。
このケースは、新システムの導入の「目的」を忘れ、納期を遵守することを目的にしてしまったために発生してしまったことです。新システム導入の目的が不明確なまま、あるいはプロジェクトマネージャを筆頭に目的が浸透していないまま、プロジェクトを走らせてしまった結果です。
専門家が本質を見失う
このケースでは、プロジェクトマネージャという専門家が、新システム導入の「目的」を明確にし、メンバーへ浸透させることが不明確になったことが不幸な結果を招きました。プロジェクトマネージャは一般的に、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)を守り、「プロジェクトを問題なく完遂する」ことに意識が集中しがちです。
今回はスケジュールが非常に厳しい状態で立ち上がったプロジェクトであったために、Q(品質)に相当する要件定義の時点で機能を大幅に削って、C(コスト)とD(納期)を守ったのでしょう。
「プロジェクトを上手く完遂する」ことは達成したのかもしれません。しかし、経営陣が決定した新システム導入には、かなえるべき「目的」がありました。その目的が達成されなければ、そもそもプロジェクトの存在価値がありません。存在価値のないプロジェクトを、どんなに上手く完遂しても、それは無駄でしかありません。
各論ではなく、「統合」を目指す
このケースはあくまでも例です。こんなに大ごとではなくとも、些細なことを含めると、同様のことは日常的に発生しています。専門家ほど、各論に走りがちだと感じます。
- IT部門がITのことしか考えない。ITが経営戦略を実行する手段であるという認識がないとか。
- 逆に経営者が「ITのことは分からん」と切り捨て、現場任せにすることで、「統合」できなくなるとか。
- 経営コンサルタントが分析ばかりに走ってしまい、その事業が存在する目的を見失うとか。
このご時勢、何らかの専門を身につけないと生きていけないため、皆さん何らかスキルアップをされています。しかし、それがむしろ盲目的な行動を生んでしまうことがあります。
あくまでも本質を大切にして、自分が身につけているある分野のスキルは各論であることを、一度再確認しておきたいですね。
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【編集後記】
今日はRUN仲間とランチです。アクティブに活動されている若者ですので、楽しみです。
今日も素晴らしい1日になります。感謝!!