中小企業診断士

中小企業診断士試験「経営情報システム」の議論から見えたこと

先日、中小企業診断士の1次試験「経営情報システム」のコンセプトが悪すぎると問題提起をしました。
中小企業を支援している現場の感覚と、あまりに乖離があるように感じたからです。

一方、試験が難しかったことを作問者のせいにする受験生が多いと感じて、
このような思考に陥ると合格後に活躍するのは難しい、と意見を述べさせていただきました。

中小企業診断士のみが所属するFacebookグループにも、この問題提起をしたり、
あるいは友人・知人とも議論をして、私なりにとても楽しい体験・知見が得られました。
気づいたことをまとめておこうと思います。

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「経営情報システム」の目的

改めて、なぜ中小企業診断士試験に「経営情報システム」が存在しているのか?
その目的を「平成28年度中小企業診断士第1次試験案内」で確認しました。
経営情報システム科目設置の目的は以下のように書かれています。

情報通信技術の発展、普及により、経営のあらゆる場面において情報システムの活用が重要となっており、情報通信技術に関する知識を身につける必要がある。また、情報システムを経営戦略・企業革新と結びつけ、経営資源として効果的に活用できるよう適切な助言を行うとともに、必要に応じて、情報システムに関する専門家に橋渡しを行うことが想定される。このため、経営情報システム全般について、以下の内容を中心に基礎的な知識を判定する。

情報通信技術の基礎は知っておく必要があるので、試験範囲の半分は「情報通信技術に関する基礎的知識」です。
同時に経営戦略と情報システムを結びつける必要があるため、残りの半分は「経営情報管理」になっています。

最後の「基礎的な知識」というのが定性的で分かりにくい表現です。
今回、色んな方からご意見をいただき、改めて感じたのは、「中小企業診断士の多様性」です。
他の士業と比べて、働いている業界や担当している業務内容があまりにも異なるのです。

税理士・会計士であれば、何らかお金に関係する仕事をしているでしょう。
社労士であれば、人・組織に関わる仕事でしょう。

でも、中小企業診断士の場合は、それらが本当にバラバラなのです。
経営レベルの仕事をしている人から、現場レベルの仕事をしている人まで。
店舗で働く人から、生産現場で仕事をしている人まで。

結果として、「基礎」とか「最低限このくらいは知っておくべき」という基準が大きく異なるのです。
会計などと異なり、業種や職種が異なると、必要とされるITスキルはかなり変わってしまいます。

 

他の試験との関係で見てみる

というわけで、人の意見だとまとまりません。
そこで他の試験との難易度の関係を見てみましょう。

「経営法務」の場合

経営法務と試験範囲が近しい試験としては、ビジネス実務法務検定です。
実際に受験したことのある方の話によると、

ビジ法2級 ≧ 診断士の経営法務 ≧ ビジ法3級

いう感じのようです。
入門レベルのビジ法3級よりは難しいけど、2級に比べると試験範囲も狭いし、簡単ということです。
ド素人からスタートして試験を受けた私としては、その後の実務に程よいレベル感だったと思います。

「財務・会計」の場合

財務・会計と試験範囲が近い試験は、日商簿記検定があります。
こちらも実際に受験したことのある方の話によると、

日商簿記2級 ≧ 診断士の財務・会計 ≧ 日商簿記3級

という感じのようです。
こちらもド素人からスタートして試験を受けましたが、同じく程よいレベル感でした。
ただ、自分なりに何度か学び直しています。(法務以上に)

「運営管理」の場合

運営管理と試験範囲が近しい(ただし店舗系のみ)試験は、販売士があります。
こちらも経験者に聞くと、

販売士2級と診断士がほぼ同レベル
販売士3級は診断士と比べると簡単すぎる

という感じのようです。
私は実務で運営管理の知識をあまり使わないので、試験と実務とのレベル感は良く分かっていません。

これら、他の科目と近しい試験との関係を見ると、
「経営情報ステム」の「情報通信技術に関する基礎的知識」分野では、

ITパスポートよりは難しく、基本情報処理技術者と同等レベル

が妥当なのではないでしょうか。
「経営情報管理」の分野は近しい試験がないように思います。
(試験の位置づけ的にはITストラテジストが近いのかもしれません。
私も保有していますが、ほぼ勉強ゼロだったので試験範囲を覚えていません。。)

今年の試験は、基本情報処理技術者試験のレベルを明らかに上回っている問題があるように感じました。

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「中小企業」は対象が多様すぎる

で、議論しなくても分かる結論で恐縮なのですが、
「中小企業」診断士とは言いつつ、「中小企業」って範囲が広すぎるんですよね。

私自身、数10人規模のIT関連企業を支援するときは、ITスキルを総動員します。
一方で個人事業主やひとり社長、あるいは数名程度の企業を支援するときは、ITスキルは、ほぼ問われません。
せいぜいホームページやブログ、SNS程度のことでしょうか。

国(試験の主体者や経済産業省)が行う試験ですから、
仮に現場で使われないとしても「これくらいは知っておいて欲しい」という知識もあるでしょう。
そういう意味では、「経済学・経済政策」に近いところもあるのかもしれません。

今年の試験で、受験生にとっては大きな負荷がかかったのは間違いないでしょう。
「中小企業診断士」試験において、どれだけの知識を問うのか?
「経営情報システム」が、これまで以上に良い試験になることを願ってやみません。

経営情報システムに限らず、中小企業診断士試験は、ポイントを押さえて、何回も繰り返し問題を解くのがオススメです。

(2018年8月21日更新)

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【編集後記】
今日はバイクで峠に向かいます。
周りの方にどれだけ付いていけるのか?恐ろしいです。。

今日も素晴らしい1日になります。感謝!!
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