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【アップグレード!!Vol.8】LAN案件でネットワーク以外のスキルを身につける

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【アップグレード!!ネットワークエンジニア】
            (毎週月曜日発行)2009.04.06 Vol.8
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◆INDEX◆
 1.はじめに
 2.LAN案件でネットワーク以外のスキルを身につける
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◆はじめに◆
 おはようございます。Ritzです。
 私の自宅周辺は、この週末が桜満開でした。
 いまの住まいで、初めて迎える春なのですが、
 敷地内にたくさんの桜があって、この時期は最高でした。
 まだ小さな息子を抱きながら、少しだけ花見をしました。
 そして、昼食後に一緒に昼寝。
 平日、忙しく仕事に集中している分、
 週末はこうして、ゆっくりと過ごすのが好きです。
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◆LAN案件でネットワーク以外のスキルを身につける◆
 前回は、LAN案件について考えてみました。
 LAN案件の特徴は
 ○ネットワークの基礎技術力が求められる
 ○ネットワーク技術以外だが必須のスキルが身につく
 ○管理・調整能力が求められる
 であり、このような理由により、
 【バランスの取れたエンジニア】
 になることが出来る、とお話ししました。
 今回は、2つ目の特徴を掘り下げます。
 ○ネットワーク技術以外だが必須のスキルが身につく
 LAN案件に限った話ではないのですが、ネットワークエンジニアには、
 ネットワーク技術以外のスキルを求められることが多々あります。
 LAN案件では、こうしたネットワーク技術以外のスキルを
 伸ばすことが出来ます。では、具体的に見ていきましょう。
 まず第1に、最も求められるのは、【工事】の知識です。
 LANに限らず、ネットワーク業界で仕事をし続けている人にとっては
 常識的な知識になってくるものです。
 特にLAN案件では、顕著に工事の知識が求められます。
 LAN案件が大規模なものになればなるほど、
 お客様は論理的なネットワークの部分よりも、
 物理的な工事に関わる調整に追われます。
 お客様の気持ちを考えれば分かりますが、
 『これは論理だからエンジニアに話をしないと』
 『こっちは物理だから工事担当に話をしないと』
 等とやっているのは、手間もかかるし、面倒なのです。
 したがって、論理も物理も分かっているエンジニアは重宝されます。
 もちろん、我々エンジニアは工事の専門家ではありませんから、
 重要なポイントだけ押さえておけば十分です。
 まずはこんな単語を聞いたときに、『??』とならないようにしましょう。
 ○ラック
 ○パッチパネル
 ○ローゼット
 ○フリアク
 ○多対ケーブル
 ○強電、弱電
 ○EPS室、MDF室
 ネットワーク案件を未経験の人が、CCNAを取得しただけでは、
 どれも、知ることが出来ないものです。
 以上は単語の紹介だけですが、もっと知るべきことはたくさんあります。
 例えば、通常、ネットワークラックと、サーバラックでは、
 ネットワークラックの方が幅広です。
 配線を取りまとめるための空間が両サイドに必要になるからです。
 サーバラックをネットワークラックに流用しようとして、
 失敗しないようにしましょう。
 繰り返しになりますが、論理的な部分しか見えていないエンジニアと、
 工事部分が見えているエンジニアとでは、特にLAN案件では
 雲泥の差となります。
 LAN案件の大部分を占める工事部分が見えていれば、
 案件全体を把握出来ます。
 一方、論理部分しか見えていないと、案件全体の3割程度しか
 把握出来ない、ということに陥るのです。
 
 私の経験上、案件を進めていく中で、問題が発生した場合、
 結構な割合で、物理的な問題が原因にあります。
 ○UTPケーブルのストレートとクロスを間違えていた
 ○ラックに機器が収まらない
 ○ケーブル種別・コネクタ形状が違う
 こういう問題が、発生する前にいち早く気付くのは、
 工事知識があるエンジニアです。
 『それは工事担当の分野ですから、私は知りません』
 という態度をとっていると、いつまでもLAN案件を
 全体把握することが出来ません。
 些細な問題で納期遅延が発生したり、追加コストが掛かったりします。
 そんな状態では、お客様に認めて頂けるエンジニアにはならないでしょう。
 大規模なLAN案件では、工事要素が、たくさん現れます。
 特に建築が関わるJV案件では、工事知識は、さらに求められます。
 一番確実に覚える方法は、やはり現場に出ることです。
 作業着にヘルメット、安全靴などを用意して、
 現場に出てみてはいかがでしょうか?
 次に【工事】以外で身に付くスキルは、
 【電気】関連のスキルです。
 電気関係でポイントになってくるのは、
 ○ネットワーク機器の電源コネクタ形状
  例)NEMA 5-15、NEMA L6-20
  電源コネクタの形状を間違えると、もちろん電源が入りません。
  特に電圧を間違えた場合、(200Vが必要なのに用意されてなかった)
  新たに分電盤の工事が必要になり、案件のスケジュールに
  致命的な遅れをもたらすことに繋がります。
 ○ネットワーク機器の消費電力
  特に狭い場所の場合、そこで動く機器の発熱が懸念されます。
  空調設計にも関わってきます。
  また、ラック(電源の系統)単位で、電力の上限は決まっています。
  したがって、電源設計にも関わってきます。
 ○UPS
  ネットワーク機器の場合、瞬間的な停電や、電圧の不安定、
  サージ対策として、UPSを入れることがあります。
  その機器選定や接続設計をするために、電気関係の知識が必要です。
 以上のように、LAN案件では、ネットワーク技術以外にも
 【工事】や【電気】の知識が必要になってきます。
 これらは、LAN案件だけではなく、もちろんWAN案件や
 データセンター案件でも必要な知識です。
 前回もお話ししましたが、比較的基礎的なネットワーク技術のみで
 構成されるLAN案件を通して、ゆとりを作りながら、
 【工事】・【電気】といった、周辺知識を身につけてしまいましょう。
 なお、LAN案件は工事が関係するため、1つの案件の工期が
 長引きがちです。少し大きなLAN案件だと、1年以上かかるものが
 出てきます。
 こういった長い工期の案件において、特に求められるのが
 【管理・調整能力】です。
 次回は、この【管理・調整能力】について、お話したいと思います。
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<今号のポイント>
 ○LAN案件では、【工事】と【電気】の知識を身につける
 ○特に工事知識の有無は、お客様からの印象に大きな差をつける
 ○現場に出て、これらの知識を身につけよう
 今回(Vol.8)の内容はいかがだったでしょうか。
 是非、こちらまでご意見をお願い致します。
 http://form.mag2.com/thapitraph
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 ネットワークエンジニアとして、最も押さえるべき基本は
 やはりTCP/IPです。出来るならば、資格勉強に入る前に
 一通り読破しておきたいです。
 ●マスタリングTCP/IP 入門編
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 私はルーティングやスイッチングを学ぶ前に、
 この書籍でTCP/IPの基本を身につけました。
 何事にも言えることですが、まずは全体像を見渡すための
 土台を作ることは重要だと言えます。
 基本を身につけた後は、どの分野でも、掘り下げていくことが出来ます。
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◆編集後記
 今回紹介したような、【工事】や【電気】の知識は
 LAN案件以外でも、常識的に求められます。
 しかし、Cisco資格やネットワークスペシャリストの受験対策だけ
 勉強していては、身につかない知識です。
 すなわち、現場を経験した人だけが身につけられる知識なのです。
 世の中には、従事する業務内容の関係で、現場に出ることが
 出来ないエンジニアがたくさんいます。
 これらのエンジニアにとっては、経験出来ないスキルということです。
 したがって、既に経験をされている方は、改めて現場の経験を振りかって
 みましょう。貴重な経験をしていることに気づくはずです。
 これから現場を経験する方も、決してネットワーク技術だけ
 見るのではなく、広い視野で色んなものを身につけようとする
 姿勢が大事なのではないでしょうか。
 ご購読、ありがとうございました。

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